乗り鉄プラスの思い出

皆様はじめまして。
BIGLOBEのたけしたです。

今回は、いつものTechBlogとは趣向を変えて、BIGLOBEが過去に提供していたサービスを振り返ってみたいと思います。 今回振り返るサービスは、乗り鉄プラスです。

乗り鉄プラスとは

全国のJR,私鉄の乗車記録を入力し、完乗率を表示するiPhoneアプリです。2010年8月から約1年間にわたってサービスを提供しました。
画面は下記のような構成になっており、乗車記録を入力すると、Google マップ上の路線図が青(未乗)→水色(一部区間乗車)→赤(全区間乗車)と変わり、乗りつぶし状況が一目で確認できるようになっていました。
乗りつぶし状況表示以外にも、地図上の駅をタップするとWikipediaの駅情報を表示する機能や、絶景ポイントを表示する機能、乗車状況をTwitterにつぶやける機能、専用ページで乗車状況を他者に公開できる機能がありました。販売価格350円の有料アプリでしたが、ニッチな分野の割に、それなりのダウンロード数がありました。

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サービス企画の経緯

当時私は新規サービスを企画する部署に所属しており、そこでは、検討の結果、LifeLogサービスを企画することになりました。 LifeLogサービスとは、人生の様々なアクティビティをスマホのカメラやGPS機能などを使って蓄積し、後で振り返って楽しめるサービスのことです。
そのサービスの一つとして私が提案したのが、鉄道の乗車記録を蓄積するサービスである「乗り鉄プラス」でした。

当時、私は、宮脇俊三さんの本やNHKの関口知宏さんの鉄道旅番組の影響でJR全線完乗を目指しており、Google マップ上に乗車記録が表示できたら便利だぞと思ったのが提案のきっかけです。
LifeLogサービスとしては、他に、日々のうでたて回数を記録するうでたて道場、スポーツサイクルの走行記録を管理するTime Attack Racerなどが企画され、iPhoneアプリとして提供されました。
ちなみに、うでたて道場のうでたて回数カウントは、スマホを床に置き画面に鼻を付けるという、通常のスマホの利用形態からは大きくかけ離れたもので、ある意味スマホのタッチパネルの画期的な利用方法と言えるかもしれません。

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こだわりポイントは線路の形

一番こだわったところは、線路の形です。
なぜ、ここにこだわったかというと、線路が綺麗に塗りつぶされていると、達成感をより感じやすくなるためです。これは、塗り絵を線からはみ出すことなく塗ったときの感覚に近いかもしれません。乗り鉄プラスでは乗りつぶした線路が、Google マップの表示に出来るだけぴったり重なることを目指しました。それを実現するために、大量の線路座標データを用意しました。
他にこだわったところは、全駅に関してWikipediaリンクを付けたことですね。こだわった理由は、列車の待ち時間に、今いる駅の歴史に思いを馳せるためです。自分が日田彦山線に乗ったとき、彦山駅でかなりの列車待ち時間があったのですが、そのとき、手持ち無沙汰で彦山駅のWikipediaを見ることがありました。そこに書かれていたのは、終戦後すぐの二又トンネル爆発事故の記事でした。彦山駅はそのトンネルから500メートルぐらいは離れていたのですが、爆発の影響で中破したと書いてあり、火薬の爆発の威力のすごさを感じるとともに、こんな山の中に、そんな悲しい歴史があったのかと驚いた記憶があります。そんな悲しい歴史も含めて、自分が今乗っている路線、駅について思いを馳せることが出来るようにWikipediaリンクにはこだわりました。

最後の仕上げは地道な手作業

乗り鉄プラスを開発するにあたり必要なデータには、鉄道会社情報、路線情報、駅情報(駅名、所属路線、起点からの距離)、線形情報(線路の地図上の座標情報)などがあるのですが、線形情報を作るのが一番大変でした。当初は、座標データを一路線ずつ手作業で作成することを考えていましたが、実際にやってみると、とてもやりきれる作業量ではなく、途方にくれてしまいました。そんなときに、同僚が見つけてきてくれたのが、国土交通省が提供している国土数値情報 鉄道データでした。

これで線形データは用意出来たと思ったのですが、そうは問屋が卸してくれず、使えるような形にするまでには一苦労がありました。

国土数値情報 鉄道データから線形データを作るために、1つの駅を基点に、次の駅に到達するまで座標データをつないでいくというプログラムを作ったのですが、座標データをつないでも、どうしても次の駅に到達しないという問題が頻発しました。その原因を調べて、一つずつつぶしていくところが大変でした。原因としては、途中に廃止駅のデータが入っていたり、座標データがループしてしまっていたりということがありました。今回の記事をかくにあたり、当時のプログラムを見てみたのですが、プログラムのコメントに下記のようなコメントが見つかり、一つずつ問題をつぶしこんでいった記憶が蘇ってきました。

# 廃止駅のcidをハッシュキーとして登録
# JR北海道,札沼線,中徳富、JR北海道,室蘭本線,旭浜、JR北海道,宗谷本線,智東、JR北海道,宗谷本線,南下沼
# JR北海道,石北本線,新栄野、JR北海道,函館本線,張碓、JR北海道,留萌本線,東幌糠
# 名古屋鉄道,河和線,椋岡、名古屋鉄道,河和線,布土、名古屋鉄道,西尾線,鎌谷
# 名古屋鉄道,西尾線,三河荻原、名古屋鉄道,尾西線,弥富口
# JR東日本,奥羽本線,南新庄(廃止駅ではないが、そもそも奥羽線には存在しない駅であるため)
# JR西日本,JR東西線,大阪天満宮(廃止駅ではないが、これを無視しないと南森町-天満橋間がつながらないため)

なお、新路線が開業した際に必要な路線データ(当時未開業だった新八代以北の九州新幹線等)は、国土数値情報 鉄道データにもGoogle マップにも存在しなかったため、手作業で座標データを作成しました。

他に苦労というか、こだわったこととしては、地図上の駅をタップしたときに表示されるWikipediaのリンク切れをなくすというところですね。大森駅(東京都)、大森駅(静岡県)といった同名異駅の情報が入れ違いになったり、駅名の表記ブレのためにリンク切れがあったりすると、悲しいですよね。それを避けるために、駅名リストを入力値として、Wikipediaにhttpアクセスするperlプログラムを開発しました。これによって、リンク切れをなくすだけではなく、駅名データの間違いを完全になくすことができました。

趣味全開の広告出稿

公開当初、それなりのダウンロード数があったため、広告出稿の予算が少し付きました。そこで考えたのが、列車の車内広告出稿です。
乗り鉄の方々に響くことを狙って、銚子電鉄、JR久留里線に車内広告を出稿しました。半分、自分の嗜好も入っています。
このような広告↓を出し、旅行をかねて、実際に掲出されている様子を見に行ってきました。大都市圏の車内広告と違い、広告費が大変安かったのを覚えています。

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新サービスの立ち上げ要員募集

BIGLOBEでは、その後、コンシューマー向けの新サービスがなかなか出てこ ない状況が続いていましたが、最近になり、再び新サービスを立ち上げる機運が出てきました。そして、新サービスを企画し立ち上げる人材の募集を開始しました。ご興味のある方のご応募をお待ちしています。



hrmos.co



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