コロナ禍で、リモート就活してみた。

「BIGLOBE Style」をご覧のみなさま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
2021年初回の記事は、ライターの竹内瑞貴さんが、ご自身が実体験したコロナ時代のリモート就職活動を執筆しています。
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2020年はコロナ禍によって世界に暗いニュースがもたらされた年だった。新型コロナウイルス(以下「コロナ」)は嵐のようにさんざん我々の生活をかき乱したが、同時に硬直した社会システムに新たな風穴を開けもした。

そして、コロナが風穴を開けたシステムの一つに「就職活動(以下「就活」)」がある。

内定取り消しや平時と比較した採用枠の縮小など、コロナがもたらした負の側面に目を向ければ枚挙に暇がない。しかし、この記事ではコロナが就活にもたらした負の影響ではなく、正の変化について、自分自身が経験したことを踏まえて話をしたい。

次章では、従来の日本の就活とコロナが就活にもたらした点を述べる。

日本の就活は大きな変曲点を迎えている

従来、日本経済団体連合会(以下「経団連」)のもと、日本の就活には「3月エントリー解禁・6月選考解禁」という暗黙のルールが存在した。しかし、日本経済新聞の2016年における報道によると 経団連の加盟企業でも31.4%が6月前から選考を始めていたことが判明している(※1)。

そして、ついに2018年、 経団連は「2021年卒以降の学生を対象とした採用選考に関する指針を策定しないこと」を決定した(※2)。 しかし、 政府は未だ2021年度(2022年3月)卒業・修了予定者の就職・採用活動日程についても「3月エントリー解禁・6月選考解禁」を踏襲している(※3)。 このように、就活のルールを策定する側が、現実と乖離した指針を発表していたのが現実だ。

では、そのようないびつなルールのもとで、就活生はどのようなデメリットを被るのか。

1つは、ルールのせいで就活に長期間拘束される、というものが考えられるだろう。例えば、志望度が高い企業があるものの、仮にその企業が「就活ルール」を遵守するのであれば、学部4年(または修士2年)の頭から本格的に動き出せることになる。

そして、多くの学生にとってこの時期はゼミナールや研究室での研究が忙しくなる時期と重なる。ここで、企業がオフラインで企業説明会や選考を行う場合、どうしても移動に貴重な時間を取られることになる。

また、下の図表は株式会社ディスコが2021年3月に卒業予定の学生1,133人(文系男子 334 人、文系女子 339 人、理系男子 326 人、理系女子 134 人)を対象に行ったアンケート結果だ。

この図表からは、コロナ以前の就活生(2020年卒者)は交通費・宿泊費に多くの費用をかけねばならなかった現状が見えてくる。特に、地方在住の学生は、前述したような移動時間と共に移動・宿泊の手間に付随する諸費用も負担になっていたことが分かるのではないだろうか。

f:id:biglobes:20201228142227p:plain 出典:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ(2020)「2021年卒 10月1日時点の就職活動調査」

しかし、2021年卒者からはコロナの影響でオンライン選考が大々的に導入されるようになった。HR総研が上場・非上場企業240社を対象に行った「2021年卒&2022年卒採用動向に関する調査」(※4)によると、 大企業(従業員数1001名以上の企業)の84%がオンライン選考を既に導入しているという。加えて、企業説明会・OB/OG訪問も対面からオンラインツールが主流になりつつある。

このように、オンライン選考の普及によって、学生は家にいながら情報収集から選考まで行えるようになったのだ。

(※1)出典:日本経済新聞社「解禁前に選考31% 経団連ルール形骸化」 (※2)出典:一般社団法人 日本経済団体連合会(2018年10月9日)「定例記者会見における中西会長発言要旨」 (※3)出典:内閣官房 就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2022 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」 (※4)出典:HR総研(2020)「2021年卒及び2022年卒採用活動動向調査 結果報告」

コロナ禍で就活した私の話

では、実際にコロナ禍の中で就職活動を行っていた身からして、就活はどのようなものだったのか実体験を基に述べたい。

私は2020年の春に大学院へと進学し、研究のかたわら就職活動を始めた。2020年の春はちょうどコロナが直撃した時期とぴったり重なる。

少し脱線するが、昨今話題になったドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(通称:逃げ恥)』の主人公・森山みくりは「大学院を卒業している=何らかの専門性を有していると考えられるのに就職先が決まらない」という設定だった。ドラマ公開当時、私は20歳ぐらいで、その様子を人ごとのように見ていられた。しかしこの春先に「逃げ恥」を見返した際、みくりの境遇が急に自分のことのように思えた。

「コロナで就職氷河期が到来すると言われているのに、私は就職できるのだろうか」自分の将来に対して急激に焦りを感じつつ、私の就活は幕を開けた。

就活を始めた4月頃、大学院の講義もオンラインになった。大学院の課題は予想以上に重く、日付を超えた後も自室で課題を消化する日々が続いた。

課題に追われる生活が続く中、唯一助かったのが、サマーインターンの選考もオンライン化したことだった。当時は面接の直前まで課題をこなし、面接が終了した後再び課題に取り掛かった。40社ほどエントリーしていたので、もし対面で選考が行われていたら、身体がもたなかっただろう。

オンライン選考でも問われるのは「働く意義」だった

とはいえ、応募したインターンに全て合格したわけではなかった。しっかり準備しているはずなのに、面接後に企業から届くお祈りのメール。ネット記事で「オンライン面接必勝法」など小手先のテクニックをかたっぱしから試した時期もあった。しかし、どうにも手応えを感じない日々が続いた。

そんな中、友人が受けていた大手企業の選考に参加することになった。これもオンライン面接だったので、私は時間ちょうどにURLをクリックし、入室した。指定された服装は普段着。面接のためにスーツに着替えるのは負担に感じることもあるので、これもオンライン面接ならではのメリットの一つかもしれない。

画面の向こうには、私とあまり歳の変わらない面接官が座っていた。自分なりに質問に答えているはずなのに、反応はあまり良くない。また、落ちるのか。そう思っていた私に面接官はこう問いかけた。 「竹内さんにとって、働くとは何ですか?」 私は意表を突かれた。なぜなら、志望動機や自分の強みなど「小手先の」準備はしていたものの、「働くこと」という本質的な問いにはうまく答えられなかったからだ。

後日、お祈りのメールが届き、この面接は失敗に終わった。しかし、これをきっかけに本当に「働くこと」について考えるようになり、ようやく自分の言葉で働くこととは何か、(画面越しでも)相手の目を見て自信を持って話せるようになったのだ。

そのきっかけは、自分の「製造業を支援したいという想い」に気付いたことだ。思い出してみれば、私は祖父母が製造関係の自営業をしていたことがきっかけで経営や経済学に興味を持った。そして、今は日本のものづくりが衰退する状況を憂いている製造業に向き合いたいことを自分の言葉でまっすぐに語れるようになった時に、就活がスムーズにいくようになった。

アフター/ウィズコロナ時代に就職活動をする人へのメッセージ

この記事ではこのコロナ禍においてオンライン選考が主流になりつつあることを、自身の経験を基に述べた。一部の企業では、既に本選考もオンラインで開始している。その中で先日自分の思いを認めてもらえる企業様から内定をいただき、就職活動を終了した。

自分が「コロナ禍」という特殊な状況下で就活を経験して言えることは、「自分のキャリアに対する思い」を明確にすることの重要性だ。特に、インターン選考と比較して本選考では「就活生がキャリアを通じて達成したい夢は何か」を重視する企業が多いと感じた。

これはコロナ以前の就活で重視されることと変わらないのではないだろうか。オンライン選考であれば、場所や時間の制約を受けることが少ない。「自分がキャリアを通じて達成したいこと」をじっくりと考え、多くの企業に伝えることができる。

コロナ禍で採用数を絞る企業も少なくない中、「自分がキャリアを通じて達成したいこと」を自分の言葉で語れるか否かが一層重要になるのではないだろうか。

(文:竹内瑞貴、編集:中山明子)

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