ある日突然里親になった母とフィリピン人の姉ができた私

「BIGLOBE Style」では、「SDGs」に関する社内外の様々な事例やトピックスもご紹介していきます。今回は、ライターのおのれいさんが、「スポンサーシップ」について執筆しています。

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コロナのおかげで、どこにも出かけず、久しぶりにゆっくりと家でクリスマスを過ごした。これまでのクリスマスの中で一番平穏な2日間かもしれない、そう思いながらこれまでのクリスマスを思い返していると、ハッと衝撃的なエピソードがよみがえってきた。

9歳のクリスマスイブに、突然姉ができたのだ。


「お姉ちゃんからクリスマスカード届いたよー!」
9歳になったクリスマスイブの朝、母から突然言われた一言だ。
私には兄が2人いるが、それ以外の兄妹はいない。困惑しつつも母が差し出しているそのカードを手に取ると、そこには英語でメッセージが書かれてあり、最後の署名には「Emily」と記されていた。決して豪華とは言えない緑と赤の紙を切り貼りしたカードだったことを覚えている。

「エミリーって誰?」と聞くと、母は「あなたのお姉ちゃんよ。フィリピンにいるの」と説明し始めた。母は貧困地域に暮らす子どもの里親になっていたのだ。エミリーの存在が私にとって初めての「世界の貧困問題」との出会いだった。

『世界には、
安心して甘えられるお母さん・お父さんがいない子がたくさんいる。
明日は何を食べよう、お菓子は何にしようと自由に選べない子がいる。
おなかが痛くてもお医者さんに行けない子がいる。
クリスマスにはプレゼントが届くことを知らない子がいる。
だから、あなたの分のクリスマスプレゼントは、そういう子にあげてくださいって
サンタさんにお願いしておいたのよ』

きっと母は優しく教えてくれただろうが、世界の貧困問題への関心よりも、今年からクリスマスプレゼントがないことを知らされた悲しさが勝り号泣したのを覚えている。

2020年、コロナによって世界が止まったような1年。これまでにない特別なクリスマスを過ごしながら、フィリピンにいる姉・エミリーを思い出し、里親制度について調べてみることにした。


特定の子どもを支援する「スポンサーシップ」
「途上国」・「里親制度」・「寄付」というキーワードで検索してみた。私の母が行っていたのは「スポンサーシップ」だ。辞書にはこう説明がある。

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英:Child Sponsorshipとは、経済的に豊かな国に住む個人や団体が、社会基盤や経済が不安定な国、地域に住む子供やその子供の家族、地域を支援する国際協力のあり方の一つである。
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(出典:Weblio和英辞典・英和辞典 https://www.weblio.jp/content/チャイルド・スポンサーシップ)

調べてみると、日本でスポンサーシップを行っている団体はいくつもあった。スポンサーシップは決められた金額を毎月支援機関へ寄付し、そのお金が外国に暮らすチャイルド(被支援者)の生活環境や教育環境を整えるために使用されるという仕組みだ。
※もちろんスポンサーシップ以外にも、発展途上国へ赴き実際にプロジェクトを支援する「プロジェクト支援」など支援方法はさまざまある。

▼スポンサーシップが用意されている主な支援団体
特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
「チャイルド・スポンサーシップ・プログラム」

認定特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン
「子どもスポンサーシップーひとりの成長を見守るコース」

特定非営利活動法人 チャイルド・ファンド・ジャパン
「スポンサーシップ・プログラム」


上記では1対1で支援する制度にフォーカスして紹介したが、こういった支援方法以外にも、複数人・複数国へ同時に寄付したり、現地の支援団体へ寄付したりする制度もある。中には「1日150円からの支援」というものもあって支援方法が豊富なことに驚いた。

それにしても、母はなぜ急に「会ったこともない子どものもう1人の親になろう」と思ったのだろうか。


1杯のコーヒーが、世界の子どもを救うかもしれない
きっかけは新聞広告だったという。「1日、1杯100円のコーヒーを我慢するだけで救える命・生活がある」と知り強い衝撃を受けたそうだ。そして「支援相手が成人するまでは支援し続ける」と決め、すぐに申し込みをしエミリーの母になった。支援が始まると、シーズンごとに本人から手紙が届き、それとは別に支援団体からの報告も細かくされたという。

・エミリーが予防接種を受けることができた
・学校に通えるようになった
・教科書が準備できた
・病気のお父さんが少しずつ働けるようになった

自分の支援が誰かの生活を支えている、と目に見えて分かることも支援を長く続けられた理由のひとつなのだろう。

そう言えば、最近は私もマイボトルを持ち歩くようになり、ペットボトル飲料を購入する機会が減った。多い日には500mlの飲料を3本は購入していたのだが、その出費が減ったのだ。だとしたら、私でもその削られた飲み物代で支援を開始できるかもしれない。そう思い、クリスマスの夜に”誰かの異国の母・サポーターになる”ことを決めた。


いざ、私もサポーターへ

さまざまな団体のサイトを比較し「特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン」の「スポンサーシッププログラム」で支援を開始することに決めた。
月/4000円の支援で、特定の子どもに対して「学用品の支給」「補食プログラムの実施」「健康診断や歯科検診の実施」の支援が可能になるという。

 

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(写真:特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパンHPより)


チャイルド・ファンド・ジャパンに決めたのは、支援者とチャイルド(支援している子ども)との交流に力を入れているという点からだ。手紙のやりとりはもちろん、一定期間の支援をした後であれば、チャイルドの現地訪問が計画されることもあるという。金銭的な支援に留まらず、目に見える・経験できる支援が魅力的に思えた。あとは、ホームページに載っていた子どもたちの輝いた笑顔が印象的であった。ドラマチックなことをいうのは苦手なのだが「自分の支援でこの笑顔を守りたい」と思ったのだ。
申し込み手続きは非常に簡単だ。ホームページから自分に合った支援方法を選択して、必要事項を入力するだけであった。


サポーターになること
申し込みをして数日後、協会から支援開始を知らせる手紙と私が支援する”チャイルド”の情報が届いた。
クリストファー君。将来の夢には「医者になって家族を助けること」と書いてある。彼の顔写真を見ながら、親として誰かを育てる(支援する)という急な責任感が押し寄せてきたが、それと同時に彼の成長を見守りたい、とも強く思った。

コロナをきっかけに、外出や外での食事が制限された。その分の浮いたお金の使い方として「子どもの里親になる」という選択をしてみるのはどうだろうか。「簡単な手続きひとつで親になる」というのは、なかなかいいかげんにも思えるかもしれないが、20代の私たちでもできる貧困支援としては意外にハードルは低いのではないだろうか。

いまあなたが飲んでいる1杯のコーヒー・1本のお茶は、誰かの命・生活を救う価値があるかもしれない。

 

(文:おのれい、編集:白鳥菜都)

 

  

<BIGLOBE社員の編集後記>

おのれいさんが調べられたように、様々な貧困支援の方法があります。マイボトルを持ち歩くことで節約できた飲料代金ではじめられ、申し込み手続きも非常に簡単とのこと。「意外にハードルは低い」というおのれいさんの体験から、興味を持っていただける方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さらに、この記事をきっかけに日本の現状を確認してみました。「子どもの貧困率」は13.5%(2020年7月厚生労働省発表)、子どもの7人に1人が貧困状態にあるといいます。子どもを大切にする社会の実現に、目を向けていきたいと思います。