どの場所と関わって生きていく? ーー住んだ町を元気にする仕事、「地域おこし協力隊」とは?

「BIGLOBE Style」では、「SDGs」に関する社内外の様々な事例やトピックスもご紹介していきます。今回は、ライターの大沼芙実子さんが、「地域おこし協力隊」について執筆しています。

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日本には魅力的な場所がたくさんあります。しかし地方の中には担い手が減っていて、その魅力を維持していくのが難しい地域もあります。さまざまな土地に関わって生きていく人が増えることで、日本の魅力ある地域がそのまま持続できるのではないだろうか。
そんな想いから、「どの場所と関わって生きていく? ーー意外と遠くない、「移住」という選択肢」では、移住という選択肢について考えました。今回は、移住先の活性化に取り組む「地域おこし協力隊」という仕事について、ご紹介したいと思います。

 

「地域おこし協力隊」とは?
「地域おこし協力隊」とは、都市地域から過疎地域などに移住し、地域おこし支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定着を図る取組みです。(※)任期は概ね1年以上、3年未満です。その隊員数や受け入れ団体数は増加傾向にあり、令和元年度で約5500名が活動しています。総務省では、この隊員数を令和6年度に8000人に増やす目標を掲げ、取り組みを強化しています。

(※)参照:「地域おこし協力隊」(総務省)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html

 

 

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「隊員数、取組団体数の推移」 出典:「地域おこし協力隊について」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000717586.pdf (令和3年1月 30日に利用)

応募を検討する場合、以下のようなフローで行います。
①地方自治体による協力隊の募集情報を確認。活動内容や条件、待遇等を確認し自分に合う自治体を検索します。募集情報の検索は、一般社団法人移住・交流推進機構(JOIN)のサイト(https://www.iju-join.jp/)で確認できます。
 ※実際に協力隊の採用活動を行うのは自治体となるため、問い合わせはJOINではなく、各自治体に行います。
② 応募する自治体がきまったら、自身で地方自治体に応募。
③ 地方自治体による選考の結果、採用が決定。
④ 地方自治体から、「地域おこし協力隊」としての委嘱を受諾。
⑤ 現住所から採用先の自治体に住民票を移し、隊員として活動を開始。

 

平成30年度末までに任期が終了した隊員の状況を見てみると、男女比は6:4、20〜30代が主要な年代なっています。しかし、60代の隊員もおり、幅広い年代の方が活躍されていることがわかります。

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「任期終了した隊員の基礎情報」 
出典:「令和元年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000664505.pdf (令和3年1月 30日に利用)

 

 

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「任期終了後の隊員の動向」「同一市町村内に定住した隊員の進路」
出典:「令和元年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000664505.pdf (令和3年1月 30日に利用)

 

任期終了後は、同一地域に定住し起業する人も

令和元年の記録では、任期終了後、約6割の隊員が同一市町村内や近隣地域に定住しています。定住した隊員のうち、4割程度が地域での就業を、3割程度が飲食業や宿泊業などで起業しており、新たな産業を生み出す活力としても活躍していると言えます。

 

ここまで「地域おこし協力隊」の概要を見てきましたが、実際に活動した方の話も聞いてみたい!
そこで、「地域おこし協力隊」で活動をしていた友人に話を聞きました。
平成27年7月から3年強、佐賀県杵島郡白石町で活動した女性に応募までの流れや活動期間中のご経験を伺いました。

<参考>佐賀県杵島郡白石町 https://www.town.shiroishi.lg.jp/

 

 


「6次産業化」に惹かれ、応募を決意
ーどうして「地域おこし協力隊」に参加したのですか?
友人が活動をしていたので、卒業後の選択肢として元々考えていました。地域によって活動内容が違うため、JOIN(※)主催のイベントに参加したりサイトを毎日のように見たりして、自分が関われそうなことを探しました。(※)一般社団法人移住・交流推進機構(http://www.iju-join.jp/

ー白石町を選んだ理由はなんですか?
白石町が提示していた、「道の駅開業支援と6次産業化支援」という活動内容が楽しそうだなと思って。終了後は道の駅に就職する流れも示されていたので、任期後のことも考えてくれている安心感もありました。求人を見たその時期に、ちょうど白石町が都庁でイベントをしていたので、履歴書を持って参加しました。参加した日にたまたま町の協力隊担当の方がいて、話を聞くうちに「やっぱりいいな」と思ったので、その場で「お願いします!」と履歴書を渡しました。(笑) その後の現地での面接が、初の佐賀県訪問でした。そして面接を受けたその月のうちに合格の電話が来て、翌月に着任しました。

ー任期中はどんな活動をしましたか?
6次産業をやりたい人の後押しをする活動では、総務省が派遣している地域力創造アドバイザーと役場の方と一緒に、町の人の作った試作品に「焦がしたらもっと美味しいんじゃない?」など意見を出し合いました。作る場所があるか、費用面で問題はないか等を検討し、時には自治体で案内ができる補助金の活用なども提案をしながら商品化を進めます。
あとは農家さんの畑でレンコンを掘るなど農作業もよくしましたね。巻き込みたい農家さんに自ら声をかけ、アドバイザーと一緒に6次産業の話を農家さんにする前に、関係を築いておきたいと思っていました。最終的に50種類くらいの商品ができました。実際道の駅で売られているのを見ると、よかったなと思いましたね。

ー他にも、印象的だった活動はありましたか?
白石町は7割平野なのですが、3割の山地でみかんを栽培しています。農家さんにはおじいちゃん世代が多く、山地の畑の面倒をみるのが難しかったので、協力隊の活動の一環として手伝いました。その山地で「新しい特産物を作ろう!」という話が出て、果樹栽培試験場でレモンやりんご、桃などを植えたんです。任期中の2018年にはレモンが2個できただけだったのが、今はコンテナ何台分も取れるようになったみたいで。新しい特産物づくりに関われたことは嬉しかったです。


慣れてくると、食べきれないほどの野菜をもらう関係に
ー初めての土地で、関係づくりに苦労はなかったですか?
最初は「東京から20代の女が来たぞ」という空気があったけれど、地元の方に収穫される野菜のことなどを、「どうして? なんで? これ、すごくないですか?」と突っ込んで聞くうちに、皆さん色々教えてくれるようになりました。食べ物も結構もらいましたね。買うのは肉と魚くらいで、野菜は食べきれないくらいいただきました(笑)。直売所のアルバイトで顔見知りも増えたので、活動はしやすかったです。
あとは国のフォロー体制として、新任者の研修もありました。他の地域の新任者や経験者と一緒に、「地域でどう関係を築いたか」など情報交換をしていました。

ー任期後の進路は、どのように決めましたか?
町に残ることも考えましたが、任期中に始めた写真をちゃんと勉強をしたいと思い、東京に戻ることにしました。ただ佐賀県は定住する人が多かった印象です。同期の隊員では町に残ってWEBデザイナーとして活動したり、NPO法人を作ったり、宿泊業を始めた人もいましたね。わたしのように、学びたいことがあって東京に戻る人もいました。

ー今でも地域との繋がりはありますか?
農家さんからは野菜や果物が届きます。先日はみかん10キロの中に、山地で作った先ほどのレモンがいくつか入っていて。そんなとき、「関係が築けていたんだなあ」と改めて感じますね。だからこそ、白石町にはまた行きたいと思います。

ー「地域おこし協力隊」に参加してよかったと思うことを聞かせてください。
わたしは東京生まれ東京育ちで、地方の親戚はいなかったけれど、白石町で新たに「家族」が出来たと感じます。また東京では感じられない自然に触れ合い、見る機会もなかった農家さんのお仕事も身近になり、その存在の偉大さや感謝を強く感じるようになりました。

 

 


全く縁のなかった地域に飛び込み、活動をされた女性。ふとした縁をきかっけに出会った地域で「家族」ができ、いつか帰りたい場所になったというお話はとても素敵でした。派遣後の進路には様々な選択肢がありますが、どんな選択をしてもその地域への愛着は残るはず。それこそがまさに、地方創生の鍵なのではないでしょうか。
彼女のように新卒で「地域おこし協力隊」に飛び込む方だけでなく、第二のキャリアとして選ぶ方もいらっしゃるため、「いつか地域にどっぷり関わり、活動したい」と思う方は、少し先の未来の選択肢としても考えられるのではないでしょうか。

「どの場所と関わって生きていく?」というタイトルで、移住と「地域おこし協力隊」の活動、2つの切り口で新しい場所と関わる選択を考えました。
少し視野を広げて、住む場所を、言葉を変えるなら「関わる場所」を考えていくことも、住み続けられるまちづくりを行うことにつながります。一度しかない人生、わたしも関われる場所を増やしていきたいと、改めて感じる機会になりました。

 

(文:大沼芙実子、編集:藤木美沙)

 

  

<BIGLOBE社員の編集後記>

新型コロナウイルス感染拡大により、一気にテレワークが広がりました。毎日出社することがなくなり、都心のオフィスを縮小するニュース、移住に関する話題も頻繁に取り上げられています。東京都では転出者数が転入者数を上回る「転出超過」の状況もみられます。都会から地方へ「地域社会に貢献したい」「人とのつながりを大切に暮らしたい」「自然を感じながら暮らしたい」・・・テレワークの広がりにより、生活の選択肢が増え、日本の様々な土地の魅力を再発見する機会となったのではないでしょうか。

 

 

BIGLOBE Styleでは、テレワークのために引越しをした社員へのインタビューを掲載しています。こちらからご覧ください。

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