自社サービスを数多く展開するBIGLOBE。数百万人のお客さまを抱える事業では、ビジネスから開発*まで部署横断的に多くの人が携わり、社内プロジェクトを動かしています。
今回のテーマは、そんな部門の垣根を超えたプロジェクトで、対等な関係で仕事を進めた事例をご紹介します。ビジネスサイドの玉川 達也と、開発サイドの江角 拓麻に、チームビルディングの難しさや心構え、成功した理由などを聞きました。
*ビジネスサイド:企画・営業・マーケティング・カスタマーサポート/開発サイド:エンジニア・デザイナー
他社事例がない「難題」に挑む
——— まずはお二人の今までのキャリアを教えてください。
江角:大学では化学を専攻しており、IT業界に関わることになったのは社会人2年目のことです。その頃は客先常駐で開発案件を担っていて、1〜2年ごとにプロジェクトが入れ替わるため、業務知識のアップデートが必要でした。技術力を磨くためにも、次のキャリアでは自社サービスを運営しているIT業界の会社で働こうと思い、BIGLOBEへ入社しました。
BIGLOBEを選んだ理由は、私の持っている技術やスキルセットがマッチしていたこと。また、一人暮らしをしていたこともあって、インターネットサービスプロバイダーを選ぶときに「BIGLOBE」の名前を知る機会があったことも影響しました。
会社の詳細までは把握せず入社しましたが、この会社を選んで良かったと満足しています。
江角 拓麻 (えすみ たくま)
プロダクト技術本部 サービス開発2部 アジャイル開発2グループ
2021年8月中途入社
玉川:私も中途入社です。その前は、当時コンタクトセンターを運営しているBIGLOBEの子会社に入社し、電話窓口業務や企画を担当していました。その後、BIGLOBEに出向となり、コンタクトセンターの管理を担当することになったのをきっかけに入社しました。
主な業務は、BIGLOBEのサービスを利用するお客さまや、コンタクトセンターでお仕事をしていただいている委託先の方々が喜んでいただけることを考えたり、困っていることを改善することです。現在は、経営戦略部として全社横断プロジェクトに携わっています。
玉川 達也 (たまがわ たつや)
全社横断 経営戦略部 経営企画グループ グループリーダー
2017年10月中途入社
——— 今回、ビジネスサイドと開発サイドの部門を越えた連携を紹介したいと思っています。お二人の取り組んだプロジェクトを教えてください。
玉川:今回は、「ビッグローブ光 Web申込フォーム改善STEP1」という、社内では“350案件”と呼んでいるプロジェクトを紹介します。
※350は社内でプロジェクトを管理する際の通し番号です。
お客さまが光回線を申し込んだ際には、ご自宅に回線を開通させる工事が必要です。
これまでは、申し込み後に電話で訪問日時を調整していましたが、電話がつながらないことやスケジュール調整に時間がかかることがあり、お客さまと工事調整窓口の担当者に負担がかかっていました。
江角:そこでお客さまがWebで申込みをされた際に、そのまま工事日の予約まで取れるシステムを構築しようというのが目的でした。
玉川:私はビジネスサイドとして課題をヒアリングし、企画書を作りました。その後、社内で承認が得られてから、体制を整え開発に進むという流れだったのですが、難題だったのは同様の他社事例がなかったこと。お客さまにとってもBIGLOBEにとってもメリットがある仕組みなのに、それが実現可能かどうかはわからなかったのです。
そのため、実際に企画に取り組む際には、どんなリスクがあるのか、開発の費用対効果はどうなのかなど、フェルミ推定のようにロジックを作り、精度の高い提案にすることが最初のハードルでした。さらには、私自身は開発の知識がなかったので、江角さんのいる開発チームのプロの知見を頼ることで、一歩ずつ進めていきました。
江角:実は、最初にこのプロジェクトの話を聞いたときの印象は、正直良いものではありませんでした。私が担当したのは、社内向けサービスのAPIアプリケーションの開発でしたが、お客さまが申し込んだ際に内容が間違って送られるとご迷惑をかけてしまうところで、仕様が複雑で、あらゆるパターンを検証する必要がありました。そのため、開発ボリュームが多く、納期も限られており、技術的にも可能かどうか分からない……これはハードな案件になると肌で感じたからです。
アジャイル開発「スクラム」で価値を最速で出す
——— 実際、どのようにビジネスサイドと開発サイドがタッグを組んで取り組んだのでしょうか?
江角:最初の頃は、とにかくがむしゃらに動いていた感じがします。でも、PM(プロジェクトマネージャー)の玉川さんがコミュニケーションを取りやすい環境づくりをしてくれたおかげで、開発サイドからも意見や要望などを出しやすかったのが良かったですね。
玉川:私自身、この規模のプロジェクトのPMを担当するのが初めてで、なおかつ、先ほども触れた通り技術面では分からないことも多くありました。そのため、最初に心掛けたのはコミュニケーションです。毎週の定例会では課題管理表をもとに議論しますが、会議だけでは足りないので、チャットで話しかけたり、各自の席を回って声をかけたり、初期段階では特に課題集めを意識しました。
江角:今回に限らずですが、開発サイドの人間からすると、ビジネスサイドで仕様が決まったものに対しては意見を言わなかったり、これは誰の責任で進めるんだっけみたいなことで揉めることは開発プロジェクトあるあるだったりします。しかし、玉川さんは対等な立場で接してくれて「この仕様で課題はないかな」「いついつまでに、誰々さんやってください」という連絡や相談をチャットや口頭で小まめにしてくれたのが良かったですね。
玉川:基本低姿勢でしたね(笑)。技術面で分からないことも多かったので、知らないことが前提で「教えてください」とか「相談させてください」というスタイルでした。
プロジェクトに関わるメンバーは100人近く、課題表には250以上の項目が並びます。毎日、表の更新度合いを見て、リマインドをかけたり、個別に打ち合わせをして、エラーになりそうなところを事前に拾うように心掛けました。
江角:課題に関して、最初は開発サイドから意見していいのか不安でしたし、特に私はまだ入社2年目の頃で、若手が発言していいのかなという気持ちもありました。ですが、思い切って課題表に書いたところ、しっかりと拾ってもらえたので嬉しかったですね。それによって他のチームからも遠慮することなく課題がでてきたので、早い段階で気付けたことも多かったと思います。
玉川:江角さんとは今回のプロジェクトで初めて話しましたが、私のファーストインプレッションは「すごく発言してくれて、ありがたいな」でした。特に開発チームのみんなは若いんですけど、自分の仕事の領域だけではなく、目標を達成するために全体最適の観点を持って、課題提起してくれたり、実際に手を動かしてくれたのがとても印象的でした。
江角:チームと共同で迅速な開発を行うフレームワークである「スクラム」で取り組んだことも大きかったかもしれません。アジャイル開発の手法の一つで、最初は見様見真似の「なんとなくスクラム」でしたが、みんなでスクラムの研修を受けたことで理解が深まりました。
お客さまに価値を届けるフレームワークとして、価値を出せるものを最速で出すことが大事で、今週は何もできなかったねでは終われない仕組みです。とにかく何か出すので、「これが課題だよね」「このアクションは起こさないとね」といったことをチームで話し合って進められたことが良かったです。
対等な関係で仕事をするために大事なこと
——— ビジネスサイドと開発サイドが対等な関係性で仕事していることが印象的です。そのように仕事をするメリットを、お互いどのように感じていますか?
玉川:まずはシンプルに、友達が増えたことが良かったことです(笑)。飲みに行ったりもそうですが、フラットに何でも言える関係性の仲間という意味で、これってすごく大事なことだと思うんです。
例えば、対応が手遅れになったら大きな問題になることでも、関係性が良ければ早めに話し合うことで成功率が上がります。仲が良いことは、仕事において実は大事なことなんです。
また、今回のようなプロジェクトは達成感を味わえるので、数年後も「やっぱりあのときは楽しかったね」と語りあえたりするはずです。このように、対等に話し合えるチームを築くことは結果として良いサービスを生み出せるのでお客さまのためにも自分たちのためにもなると思っています。
江角:開発サイドとしても、何でも言い合えるような関係性を構築するメリットは大きいです。仕事とは誰かに価値を届けることなので、その上で、最後に一番効いてくるのはチーム間のコミュニケーションだと思います。早い段階で意見を言い合い課題を解消しておくことで無駄な時間も減りますし、結果的に収益にもつながるはずです。
例え話になりますが、3つのチームがあり、全員で山頂に登るというプロジェクトがあったとします。1つは、今まで何も話してこなかったチーム。もう1つは自分勝手にひたすら進むチーム。 最後にみんなの仲が良いチームです。
何かトラブルがあったときに、何も話さなかったチームは、そこで初めて対話をするわけなので、当然対応が遅れます。自分勝手に進むチームは全員でゴールする目標からは遅れるか、辿り着けないかもしれません。何でも対話できる仲の良い関係性を最初から作っておくことによって、障害を乗り越え、最終的にプロジェクトの成功率が上がるはずです。
玉川:江角さんがチームの雰囲気を良くしてくれたこともありました。週一回の定例会のとき、オンライン会議用のプロフィールアイコンを可愛い動物のキャラクターにしてくれて、あれでみんなの心が和んだし、話しかけやすいムードができたんです(笑)。
江角:世界一幸せな動物と言われる「クオッカ」のアイコンにしました。私自身も、一目で可愛いなと思って(笑)。社外の人のオンラインミーティングでもよく話しかけられるようになったので効果を感じています。
玉川:絶対に印象に残ると思う。アイコンが可愛い人って。
あと、定例会つながりの話で、私自身は一日一笑いが起きるようなムード作りを意識しています。
——— 一日一笑い?それは、どうしてですか?
玉川:コンタクトセンターで働いていた経験が大きく影響しています。現場はお客さまからご指摘があれば自分に非がなくても謝ったり、数時間にわたり電話で受け答えしたりと、ストレスがたまりやすい環境です。そのため、みんなが明るい気持ちになって仕事に向かえるように、朝礼時に笑みが溢れる話をすることを心がけたのです。やはり仕事は楽しくできた方が、お客さまにも価値を届けられると思うんですよね。
江角:今回は部門の垣根を超える話でしたが、開発チーム内でもチームビルディングを行っています。例えば、今回のプロジェクトでは、価値観マッピングを実施しました。
目的としては、お互いの長所や特性を知って、仕事をもっとやりやすくすること。アプリケーション開発メンバーは経験の浅いスクラムチームだったので、誰かに負担や発言が偏らないように、一人ひとりのことを各自が知ることを心がけました。
具体的な方法としては……
1.各自、チームメンバーに聞きたい質問を書く
2.各自で回答を埋める
3.回答を発表し合う
4.(任意:各自の特性をまとめる)後で見返したときに「誰々さんはこの類のタスクは苦手だったっけ」などと確認できるように。
私たちはもともと心理的安全性が高いチームではありますが、もし実施する場合は話しやすいように少人数で開催したり、好きなお菓子を持ち寄ったりと、話題が広がりそうな場づくりも大切です。
会社全体を良くする発信源に
——— 全社員が一丸となるための行動規範で、「 ビッグローブマインド」があります。二人はどのように感じていますか?
玉川:間違いなく「チームビッグローブ」は、社内の共通マインドとしてありますね。いろいろな部署をまたいで協力し合っているので。あとは、「変化に挑む」も常に体現していると思います。
江角:今回のプロジェクトでは、「お客さま目線に立って、期待を超える」ことも意識しましたね。
玉川:結局、全部当てはまっているかもしれないね(笑)。
江角:ほんと全部ですね(笑)あと、BIGLOBEに転職してきて感じたのは、みんなウェルカムムードがあり、斜に構えている人がいないというか、話せばわかってくれる人が多いこと。先ほど玉川さんから「友達」というキーワードが出ましたが、声をかけやすく、会議などでも話しやすい雰囲気がありますよね。
玉川:ほんとそうだね。
——— 今回の案件は、チームの関係性が構築できた事例かと思います。今後もそのようなプロジェクトを増やすためにはどうすればいいと思いますか?
玉川:再現性を高めるなら、やっぱり部署の垣根を越えて対話できる関係性をプロジェクトが始まった早い段階で築くことかなと思います。
しっかりキックオフをやって、メンバーのことを知り合うことは大事だと思います。特に初期フェーズはトラブルも起きやすいので、課題を早い段階で言えた方が結果的にプロジェクトが成功に近づくので。
江角:最初に飲み会をやりたいですね(笑)。
玉川:それも大事だね。私自身、せっかくご縁があって一緒に働くことになったみんなには、プロジェクトに参加して良かったとか、成長できたとか、良いことあったなという感覚を持ち帰って欲しいと思っています。人は良かったこと、面白かったことを広げてくれると思うので、会社全体を良くする発信源でありたいですね。
江角:私は役職や部署を越えてコミュニケーションを取れたらと思っています。例えば、営業サイドが今何を考えているかを知ることによって、企画が完成して見積りが出てからではなく、その前に技術的な提案ができるかもしれません。ただ、個人対個人だと属人化してしまう可能性もあるため、部署同士がつながりを持てる取り組みができたら良いですよね。そこに関しては良いアイデアがないか私自身も考え中です。
——— 最後に、この記事を読んでいただいた方にメッセージがあればお願いします。
玉川:「やりたいな」という想いや気持ちを大事にしてもらえたらと思いますね。 仕事は成果が出た方が楽しいので、成果を出すには、ある程度は努力してスキルを身に付けることが大切です。どうしたら努力できるかと言えば、やっぱり好きなものに対しては、誰でも一生懸命になれるので、興味のある分野、好きな働き方などを追求することが大事です。BIGLOBEは、そういったことがやりやすい会社だなと思います。
江角:私もそう思います。自分がやりたいことに対して発言できるし、改善したいところも提案できる。もちろん全部が通るわけではありませんが、真心を持って聞いてもらえるので、良い会社だなと感じる機会が多いですね。
玉川:だからこそ、みんなで面白い仕事をしようぜって言いたいですね。この案件では、若くて前向きなメンバーが開発チームにいると知ることができたのが、自分にとってとても意義があることだったし、きっとまた面白いことができると思っています。
——— 本日はありがとうございました!
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