BIGLOBEの「はたらく人」と「トガッた技術」

特許取得!聞こえない視点から生まれたアイデア『みみもじ』誕生秘話

こんにちは。BIGLOBE Style編集部の吉田です。

BIGLOBEでは、社内イベント「新サービスアイデア発表会」を通じて、社員が自由にアイデアを発表する機会が提供されています。その結果、このイベントで発表されたアイデアが特許を取得するという大きな成果を達成しました。

今回の記事では、耳が聞こえないという特有の視点から佐々木優佳さんが考案したアイデア『みみもじ』(※アイデアを示す社内通称です。)の特許取得に至るまでの過程と、その過程を支えた社内のサポート体制について、佐々木さんご本人と総務部法務グループの枝村寿さんにインタビューしました。

佐々木優佳、立ち姿

佐々木 優佳(ささき ゆうか)
プロダクト技術本部  システム統括部 システム基盤計画グループ

NECへ新卒入社後、BIGLOBEの前身となる部署へ配属となる。
以降、計画部門にて費用関連の発注処理(技術費やソフト投資の価格決定)や、支払処理(各請求書、および派遣費など)を担当している。

「みみもじ」アイデア誕生の背景とは

 

——特許取得、おめでとうございます!まずは、「みみもじ」の概要を教えてください。

 

佐々木:「みみもじ」は、簡単に言うと、音による情報を視覚的に知らせてくれるアプリです。耳が聞こえない方や、日本語が分からない外国人、そして聞こえづらいご高齢の方々を対象にしています。

主な機能としては、アラーム音を検知して振動で通知したり、アナウンスを文字に起こして表示します。また、災害や電車事故などで周囲がざわついているけど実際に何が起きているのか分からない場合には、アプリのボタンを押すことで音声を流すことができ、周囲に状況を尋ねることができます。

このアプリのアイデアから、周囲の音の中から利用者が必要とする情報だけを表示する仕組みを特許出願しました。

佐々木優佳

 

——佐々木さんだからこそ生まれたアイデアですね。

 

佐々木:はい。私自身の経験から着想を得ました。災害や電車事故などで重要なアナウンスがある際に、耳が聞こえないと情報を確認できず、行動が遅れることがあります。また、病院やレストランで自分の名前を呼ばれても気づかず、後回しにされることもあります。こうした問題を解決したいという思いから発案しました。

聞こえないと、いつアナウンスがあるか常に気を張っているため、ストレスが多くなります。このアイデアによって、そのようなストレスが軽減され、安心して日常を過ごせるよう、生活の質が向上することを期待しています。

 

——社内イベント「新サービスアイデア発表会」で「みみもじ」を発表したことが、特許取得に繋がったそうですが、どのような経緯で参加することになったのでしょうか。

 

佐々木:日頃から「聞こえないことに関する仕事がしたい」と上司に伝えていたこともあり、上司が「発表してみたら?」と後押ししてくれました。私にとっては勇気のいることでしたが、チャレンジしてみよう!と決意して、登壇することにしました。実際に登壇した際には、私と同じく聞こえない友人から「私も欲しい機能です」といった声をいただき、とても嬉しかったです。

佐々木優佳、登壇の様子

登壇の様子

特許取得までの道のり

 

——法務グループの枝村さんから特許出願してみないかと声がかかったと聞きました。

 

佐々木:「新サービスアイデア発表会」での登壇について、社内ブログに書いたんです。こちらも、上司が「もっと社内に知ってもらうためにブログを書いてみようよ」と勧めてくれたことがきっかけでした。少し恥ずかしい気持ちもありましたが、勇気を出してブログを書いたところ、読んでくださった法務グループの枝村さんから「特許にチャレンジしてみませんか」と声をかけていただきました。「私のアイデアが特許にチャレンジできるの?」と驚きましたが、自分から情報を発信することの大切さを実感した出来事でした。

特許の出願から取得までサポートしてくれた枝村さんと、常に背中を押してくれる上司には本当に感謝しています!

 

——本日は法務グループの枝村さんにもお越しいただきましたので、枝村さんにお聞きします。佐々木さんのアイデアを知ったときの印象を教えてください。

 

枝村ITを活用して人を助けることができる、とても素晴らしいアイデアだと感じました。ご自身の経験から生まれた課題に基づいており、佐々木さんならではの解決方法に説得力がありました。

枝村寿

枝村 寿(えだむら ひさし)
コーポレート本部 総務部 法務グループ

NECに入社後、2006年から当時のNECビッグローブ株式会社の法務部門に在籍。
知的財産権関連を主に担当。

 

——特許取得のプロセスの中で、困難だったことはありましたか?

 

枝村既存の技術からの進歩性が認められないと、特許になりません。実際、特許庁から拒絶理由も来ました。

ただ、出願書類を作成するにあたって、佐々木さんにヒアリングさせてもらい、どのように進歩しているのか示せるように、アイデアに関連する内容を上手く引き出すことができたのが、特許化につながったと考えています。

ヒアリングした際にも、このアイデアに対する佐々木さんの情熱が伝わってきました。その想いが特許庁の審査官に伝わるように対応しました。

 

——ご本人のリアルな経験から生まれたものなので、情熱が伝わりますよね!法務グループのバックアップ体制についてもお聞きします。どのように社員のアイデアと関わっているのでしょうか。また、今回の取り組みが今後どのような良い影響を及ぼすと考えていますか? 

 

枝村従業員全員が創造活動に参加できるように支援しています。

アイデアは、ふとしたことがきっかけで生み出されますが、アイデアの創出のタイミングと会社でのサービス化のタイミングが必ずしも合うとは限りません。

そのため、アイデアが思いついた時には、いつでも気軽に法務グループに話しかけてもらえるように心がけています。

また、社内ブログなどで気になる点があれば、積極的に声をかけさせていただいており、私からも毎月、知財に関する社内ブログを書いて、社員の皆さんに知財に興味を持ってもらえるよう努めています。

今後も皆さんの頭の中にある原石のようなアイデアを、国から認められる特許などの知的財産にしていきたいと考えています。

アイデアを考えたり、それを基にディスカッションすることで、脳が活性化され、普段の仕事にも役立つと思っています。

 

佐々木:本当にその通りだと思います。今回の経験を通じて、考えることの楽しさを知りました。こんな機能があったらいいな、こんな課題を解決したいなと次々にアイデアが浮かび、脳が活性化されていると感じます。本来の業務にも良い影響が出そうです(笑)。

佐々木優香、枝村寿、並んで座る

諦めずにチャレンジする気持ち

 

——法務グループの強力なサポートが心強いですね!さて、再び佐々木さんに話を戻しますが、今回の出来事が佐々木さんに与えたものを教えてください。

 

佐々木:日頃から、聞こえないことに関連した仕事をしたいと考えていましたが、私の実際の業務とは無関係なため、アイデアを出すことに遠慮をしていました。しかし、上司の後押しがあり、臆せずにチャレンジしたことで、自分自身の成長につながったと感じています。

自分の特徴を多様なバックグラウンドのひとつと捉えることで、多くの可能性が広がっていると感じ、何事にもチャレンジできるのだと実感しています。

佐々木優佳

 

——佐々木さんは、社内ブログで「聞こえない方とのコミュニケーションって?」「手話は言語?」などの記事も展開しています。そこにはどのような思いがあるでしょうか。

 

佐々木:「どうコミュニケーションをとったらいいんだろう?」「手話って世界共通なの?」といった疑問について、当事者目線で情報発信を行いました。そこには、みなさんとの距離を縮め、もっとコミュニケーションを取りたいという思いがあります。そうするために、まずは自分をオープンにすることから始めてみようと思いました。

ブログにも書きましたが、「聞こえない方はみんな手話ができる」と思われがちです。しかし、実はそうでもなく、私も18歳までは全く手話ができませんでした。聞こえない方でも手話を使える人は、わずか25%程度という話もあるんですよ。

コミュニケーション方法には、手話、読唇術(口の動きで読み取る)、筆談などさまざまな手段があります。そのため、「その人に合ったコミュニケーションを取ってもらえると嬉しい」ということを発信しました。

また、よく聞かれるのが「手話は世界共通?」という質問です。答えは「いいえ」です。世界中には、日本語や英語、スペイン語など国によってさまざまな言語が存在するのと同様に、手話にもアメリカ手話、フランス手話、オーストラリア手話など、国ごとに異なる手話があります。ブログには一例として「ありがとう」の各国手話を画像で紹介しました。これらのブログは多くの反響をいただき、手話を覚えたいという嬉しい声も寄せられました。

社会では多様性の時代になりつつありますが、私はまだまだ壁や境界線を感じることが多いです。その壁がなくなり、人々が互いに理解し合える寛容な社会になることを願っています。

手話、ありがとう、イメージ画像

 

——お互いを理解し合うことで、業務連携などにも良い影響がありそうですね!
それでは最後に、この記事を読んでいただいた方に向けてメッセージをお願いします。

 

佐々木:BIGLOBEには、そっと背中を押してくれる上司やフォローしてくれる仲間がたくさんいます。私がチャレンジできるのも、周りのサポートがあるからこそだと思っています。この恵まれた環境に感謝の気持ちでいっぱいです。

今回の経験から、「できそうもないから諦めよう」という考えにとらわれず、チャレンジする気持ちが重要だと学びました。これからも私ならではのアイデアをさらに形にしていけたらいいなと思っています。

みなさんも、勇気を持って新しいことに挑戦してみてください!

 

——本日はありがとうございました!佐々木さんからたくさんのエネルギーと勇気をいただきました。今後のご活躍もお祈りしています!

 

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