BIGLOBEの「はたらく人」と「トガッた技術」

【多摩美術大学 × BIGLOBE vol.2】学生の構想発表を見て、社員はどう感じた?本音トークで語る座談会を開催

こんにちは、BIGLOBE 基盤本部 基盤統括部にて、新サービス創出活動推進を担当している吉川です。

2021年4月より「技術を通して、もう1つの通信を考える」をテーマに、多摩美術大学 情報デザイン学科の永原教授、清水講師、学生の皆さんとの産学共同研究プロジェクトが始まっており、vol.1の記事では、多摩美術大学の学生が通信史やデータセンターのオンライン見学などの講義内容をメインにレポートしました。

今回のvol.2の記事では、5月28日に多摩美術大学にて行われた学生の構想発表会を通じて、BIGLOBEの社員が気づいたこと・思ったことを座談会形式で語り合った内容を中心にご紹介します。

学生の柔軟なアイデアを受けて、さまざまな意見が飛び出した社員の本音トークをぜひご覧ください。


多摩美術大学 × BIGLOBE 産学共同研究プロジェクトとは

「技術を通して、もう1つの通信を考える」というテーマに沿って、多摩美術大学の学生が作品やそのプロトタイプなどを制作します。
 インプットの講義や学生のアイデア発表を含めた創作活動の過程をBIGLOBE社員がオンラインでリアルタイムに参加及び録画視聴できる環境を作っています。
 学生の作品制作のプロセスへの参加を通じて、Z世代が通信というものをどのように考え、認識しているのかといったことへの気づきや、学生のアイデアからインスパイアを受けることで、BIGLOBE社員が将来の新サービス検討などの新しい取り組みにつなげていくことを目的に取り組んでいます。


7月の展示本番に向けて、学生の構想発表会を実施 

情報デザイン学科の学生たちは7月のオープンキャンパスでの作品展示に向けて、5月7日に発表内容の方向性を発表し、その後、2回の相談会を経て、考えをブラッシュアップしていきました。

そして、5月28日に本番に向けての構想発表会を実施。1人3分でプレゼンテーションを行いました。学生の自由な発想とクリエイティビティあふれる構想に対して、永原教授と清水講師からのフィードバックにより、構想が進化していきます。そして、BIGLOBE社員からも、学生に対してコメントさせていただきました。


BIGLOBE社員座談会

構想発表会の様子はオンライン配信でBIGLOBE社員もライブ視聴できる環境を用意しました。

学生たちの発表を見て、社員はどう感じたのか……今回は2つのグループでオンライン座談会を開催し、本音を語り合いました。

【第1グループ】
松村 憲和:マーケティングプラットフォーム部 メディアシステム開発グループ
空久保 充弘:マーケティングプラットフォーム部 メディアシステム開発グループ
佐藤 駿:マーケティングプラットフォーム部 メディアシステム開発グループ
【第2グループ】
西 秀和:基盤系システム部 基盤横断システムグループ
福田 敏則:サービス開発部 ISP開発グループ
川口 永一郎:ネットワーク技術部 開発グループ


「情報ってこれほど自由なんだ!」学生の豊かな発想に刺激を受ける

ーー 学生の発表を聞いて、率直な感想をお聞かせください。


佐藤駿: ほんとにいろいろな発表があり、通信と一言で言ってもいろいろな捉え方ができることが驚きでしたね。とくに、「心の通信」のようなコミュニケーション手法をテーマに話されていた方が多かったのが印象的でした。

松村: 私も非常にいい発表だったなと思いました。社会人になると、何か企画するにもどこにでもあるような二番煎じなアイデアになることが多いですよね。守りに入ってしまうというか。でも、学生さんは自由な発想がある。例えば、通信はどんどん速く便利になっていますが、より遅く不便になることにも価値を感じていたり。そういったところを私たちは思いつきづらい。

空久保: 私も学生のことがわかっていなかったので、いろいろ新鮮でした。企画の意味がはっきりと理解できないものもありましたが、それが逆にいいと思いましたね。発表に際して、すでに試作品(モノ)を作っている人がいたのも驚きました。

松村: 正直、最初はもっとぼやっとしたアイデアが多いのかなと思っていましたが、あと1つ2つ要素を加えれば本当に売れるんじゃないかというアイデアがありましたね。しかも、学生個人の力でそこまでたどり着いていたのはすごいですね。

西: 学生はとにかく発想が自由。会社では出てこないアイデアが多くて、情報ってこれほど自由なんだと感じましたね。

福田: 発想が何かに縛られていないので、本当に思ったことを表現するのは面白い。いいと思ったら試しに作ってみるフットワークの軽さがあったのも良かったです。

川口: 試しに作ってみるのは、デザインシンキング的なアプローチですよね。学生の発表は、今までありそうでなかったのもあったので面白かったです。

西: 就職すると”会社のルール”がありますが、学生にはあのフットワークをいつまでも持ち続けて欲しいですね。

例えばBIGLOBEでも、温泉でワーケーションをする「ONSEN WORK」みたいなサービスは、 ビジネス的成功からではなく、SDGsや地域貢献など課題解決から生まれた企画です。他にも、若手の社員が「社長室」に入って、社長とともに新しいプロダクトのアイデアを出し、作っていくという制度もありますね。

川口: インフラサービスを担っている会社なので、社員がいろいろと勝手に取り組むのは難しいけど、日々の業務改善や自動化などは自由裁量でもやれますよね。学生のフットワークの軽さは見習いたいです。

表現力あふれる発表の中で、印象的だった作品は

ーー 面白いと思った発表はどれでしたか?

空久保: 伝書鳩で想いを伝える発表がありましたが、あえて時間がかかる通信は面白いと思いましたね。実体験として、LINEの人工知能(AI)とのやりとりはレスポンスが高速すぎて、人っぽくないのが嫌になる時がありました。これからの時代、AIが人の代わりをするというサービスは増えると思いますが、どれだけ人間らしく振る舞えるかというのは大事かなと思います。

佐藤駿: 最近は、若い人の間で不便を楽しむサービスが流行っていますよね。1日経たないと写真が見られない画像共有アプリ「Dispo」や、撮った写真をわざわざプリントアウトする「写ルンです」にまたスポットライトが当たったり。

私自身は、チャットは速くすぐ届くに越したことはないのですが、あえて遅くするのは面白いなと思いましたね。

松村: その人に合わせた選べる通信が世の中に必要かもしれませんね。例えば、BIGLOBEでもAIチャットbotのサービスがありますが、まだ機能が幼いので私たちが成長させていかないといけません。ふるまいが人間らしく、冗談が言えたり、メッセージだけではなく表現・表情を送れる通信など、ユーザーに合わせていろいろな可能性があると思います。

また、コミュニケーションの表現方法といえば、花を送ることを通じて想いを伝える企画がありましたね。私はBIGLOBEブログで、花で感情を伝える企画を担当していたことを思い出しました。投稿したブログの内容を解析して感情を花の色で伝えるような仕組みだったのですが、面白いことに、参加者は性格が穏やかな方ばかりが集まる傾向に。花で感情を伝えると、人は穏やかになる(そんな人が集まる)は発見でしたね。

佐藤駿: 人の気配を感じられるデバイスの発表も面白かったですね。今はコロナ禍で帰省できないですし、在宅勤務で社員にも会いづらいので、気配を感じるというのは良かったです。

空久保: 私が所属していた研究室でも、存在感を伝え合うような研究をしていた人がいたんですが、それに似ていて面白いなと感じました。おやじのくしゃみとか洗濯機や掃除機の音など、ノイズから気配を感じるデバイスなどもできるのかなと。

松村: 本当に2-3個アイデアを足せば売れるんではないかと感じますよね。

西: 方言の企画は面白かったですね。方言のオープンデータにして公開して欲しい。方言が集まる場所「方言ぺディア」みたいなところで、芸能人とかも自分の生まれた地域の方言を登録したら盛り上がりそう。

あと、膨大なインターネット空間そのものを可視化する表現も面白いなぁと感じました。ネットは自分から情報を取りにいきますが、自分が欲しい情報だけにかたよると分断社会という課題も生まれます。その解決策として、いろいろな情報や言葉が降ってくるような。

福田: たしかにインターネットは言葉を知らないと検索できません。例えば、子供は知っていることが少ないので検索はできなくても、本屋を歩いているだけで「あっこれいい」ってなる出会いがある。それが物理空間の良い点だと思いますが、インターネット空間でも「あっこれいい」という出会いが作れるような仕組みはいいですね。

川口: なるほど。私も最初は全く理解できなくて、まさに美大生は芸術家だなと感じました。

福田: 人の気配を伝えるデバイスや、感情変化を共有できるデバイスもありましたね。コロナ禍で在宅勤務になって失われた感覚は人の気配だったりするので、家でも会社と同じような働き方をしたいなら、こういったデバイスで補えるのかな。

西: 匂いと記憶は結びつきやすいですよね。懐かしい匂いがしたら、その記憶を思い出す。 12時にカレーの匂いを出してくれたら腹が減りますし(笑)。そんな匂いでコミュニケーションするデバイスもあれば面白いですね。


社会人が理解できないものにこそ価値があるかもしれない

ーー 産学共同研究は自分たちの活動にどのように応用できそうでしょうか?

オンライン座談会の終わりにみんなで撮影。司会は基盤統括、堀内さん(右下)でした。

佐藤駿: 学生の意見を聞くことで、若い人がどんな価値感で動いているかわかったので、若い人向けのサービスを考えるときに有効だと感じました。

空久保: 学生のアイデアを生かし、私はプログラミングができるので技術力を提供することで協力できますし、やりたいことがあったときに事業会社の組織や人脈を紹介して、学生と連携・実践していくこともできます。

松村: 同じく、今回のプロジェクトを通じて私たちはいろいろと情報や刺激をいただい上で、私たちの得意としていることを提供することで、もう1歩先に踏み出せると思います。

佐藤駿: 学生の柔軟な発想を知ることができましたが、BIGLOBEにも言えることで、社内にも自由な発想を持っている人はいます。しかし、やりたいことを発信した時に後押ししてもらったり、実際にやれる環境があるかどうかがこれから大事だと感じました。今も新サービス創出に関わっている人がいますが、みんなが活動しているわけではないので。

空久保: 若い社員のやりたいことを上司が理解できなくても、「こんなことをやりたい」と言ったときに後押ししてあげるのは大事ですよね。

松村: そうですね。あと、承認者はなるべく少ない方がいいし、手軽な企画はとにかく出してしまう。これはいけるなというものは、いかに作って実績を作るかが大事なんだと、学生の発表を通じて感じました。

オンライン座談会の終わりにみんなで撮影。BIGLOBEの「B」に挑戦。「B」に……見えるかな!?

西: 産学共同研究はシリコンバレー的な発想ですよね。学生はアイデアを考えられるけど、実現可能性を考えるのは難しい。逆にビジネスの観点や実現性を考えることは私たちはできる。その連携ができれば、新しいプロダクトにつながると感じました。

川口: たしかにそうですね。しかも、今回はエンジニアに関係ある大学ではなく、美術大学と組むというのが、どういう成果になるのか楽しみに感じています。自分が理解できない発表もありましたが、社会人が理解できないものにこそ価値があるのかもしれません。

福田: 理解できるものはすでに世の中にあるものが多いですよね。一見価値が理解できないものの方が、ビジネスとしてのポテンシャルがあります。BIGLOBEでも、新規事業を立ち上げるなら、予算内である一定の制約を守れば何を企画してもいいなど緩めのルールを作って、自由にできるという枠組みがあればいいですね。そういった企画を学生と一緒に取り組めるといいなとも感じました。



今回は、学生の構想発表を通じてBIGLOBE社員がトークする座談会の内容について、レポートさせていただきました。多摩美術大学とBIGLOBEの産学共同研究取り組みは、7月の作品展示、発表に向けて、現在も進行中です。 このBIGLOBE Styleでは、今後も取り組みの様子を随時公開していきますので楽しみにしていてください。