どの場所と関わって生きていく? ーー意外と遠くない、「移住」という選択肢

「BIGLOBE Style」では、「SDGs」に関する社内外の様々な事例やトピックスもご紹介していきます。今回は、ライターの大沼芙実子さんが、「移住」について執筆しています。

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日本には魅力的な場所がたくさんあります。しかし地方の中には担い手が減っていて、その魅力を維持していくのが難しい町もあります。わたしも今は東京に住んでいますが、いつかは「移住」を選択出来ないだろうか。
そんなことを考えていたとき、コロナ禍で突如「働く場所=住む場所」である必要がなくなりました。国内で「移住」の状況はどうなっているのだろう? 実際のところ、わたしにも手を伸ばせる選択肢なのだろうか? 改めて「移住」について考えてみることにしました。

コロナ禍で変化する、日本の移住の現状
東京への人口一極集中、地方の人口減少は、日本が抱える課題の一つです。そのため、政府は地方への「移住」を推進しています。情報発信拠点として、各都道府県による常設の移住相談窓口が設置されていますが、それらの窓口への相談件数は年々増加傾向にあります。ここからも、移住への関心が徐々に高まってきていることがわかります。

 

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「移住相談窓口などにおいて受け付けた相談件数」
出典:「令和元年度における移住相談に関する調査結果(移住相談窓口などにおける相談受付件数など)」(総務省)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei08_02000204.html(2021年1月20日に利用)


また新型コロナウイルスの影響で、実際に移住をする人の数も増加傾向にあります。これまで人口が増加傾向にあった東京都で、2020年7月から転出超過が続いており、2020年12月1日時点でも、前月に比べて約1000人ほど東京都の人口は減っています。年間を通じて人口が増加傾向にあった2019年度とは大きな違いです。

 

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<出典>「東京都の人口(推計)」の概要(2020年12月1日現在)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/12/25/06.html

 

そういった動きを踏まえ、総務省は移住を検討している人を後押しする目的で、2021年度から移住生活を体験できる取り組みを始めることを発表しました。国から生活費などの支援を受けながら、最長で3カ月間、移住生活を体験できる取り組みです。そのほかにも、これまで実施していた首都圏から移住して地方で起業する人への支援制度について、2021年度からは新たに、テレワークで東京の仕事を続けつつ地方に移住した人も対象にすることも決まっています。

確かにテレワークが進んだことは移住のハードルを下げる大きな要因だと感じます。でも、いざ自分が考えるにあたっては、なかなか思い切りがつかないかも……。実際に移住した人は、どうやって移住を決めたのだろう? そこで、移住をした友人に話を聞いてみました。

お話を伺ったのは、30年弱住んだ神奈川県から、2019年2月に香川県高松市仏生山町に移住をしたフリーランスデザイナーの女性。移住をしてから2年経つ今、感じていることなどについて伺いました。

<参考>香川県高松市仏生山町 https://www.my-kagawa.jp/course/2418/


そんな生き方もあるんだ! そう思ったのがきっかけです
ーどうして移住されたのですか?
数年前に参加したイベントで、日本各地で地域のために仕事をしている人に会って、「こんな生き方もあるんだ」と思ったのがきっかけです。親が退職し、神奈川を出ることになったとき、わたしだけそのまま残る選択肢もありましたが、移住を決めました。神奈川は嫌いではなかったけれど、ここじゃなくてもいいかなあ、という気持ちでした。

ーどうやって移住先を決めましたか?
漠然と四国に住みたいと思っていました。仏生山町に住んでいる人とたまたまSNSでつながっていて、地元の仲間と畑を作ったり、イベントをしたりしている投稿を見て、面白そうだなと思っていました。
まずはどんな町なのか、実際に見に行きました。雰囲気も良く、「ここが良いかも」と思ったけれど、近しい知り合いはほぼゼロだったのでそのまま行くのは少し不安で。そんなとき、高松市で開催されるイベントを見つけたんです。「これなら知り合いができそう」と思い参加しました。その参加者の中に、仏生山町に住んでいる方がいて、移住を考えていると話したら喜んで、引っ越し前からいろいろ手伝ってくれました。本業の他に地域の任意団体でも活動をされている方だったので、この人とつながったら知り合いも増えそう、と感じました。
それが決定打となり、移住を決めました。なので、特に行政のサービスなどは利用していません。
ちなみにペーパードライバーなので、交通の便が良い場所がいいなとも思っていました。今も車は使っていません(笑)バスと電車で生活できています。

 

地元のつながりで、新しいクライアントと出会うことも
ー移住してからは、仕事の内容も変わりましたか?
フリーランスなので、つながりのない土地でどう仕事を探そう? というのは最初は少し不安でした。でも徐々に、NPOで活動をしている知り合いから、イベントのチラシ制作を依頼されるなど、地元での仕事が増えましたね。最初は「見ず知らずの土地に一人で来て大丈夫かな」と心配をして、仕事をくれたのかもしれません(笑) 
今は神奈川のときからの仕事と、香川で決まった仕事が半々くらいです。地元のつながりで新しいクライアントと知り合うこともあります。この間もイベントのチラシを見たケーキ屋さんから、「うちのシールも作ってほしい!」とお話をいただきました。

ーご自身の周りでも、移住への関心の高まりを感じますか?
最近、デザインの専門学校で「地方でデザインをすること」について講義をした際、「地方でデザインをやりたいと思っている人は多いんだなあ」と感じました。
感想文でも「移住という選択肢もありだと思った」という声が多くて。今は東京にいるけど、いずれ地方の実家に戻りたい、という人も多かったです。


すれ違うと毎回あいさつ。その距離感が心地よい
ー本業以外に、町の活動にも関わっていますか?
地域の任意団体に所属し、市運営のコミュニティセンターと連携して活動しています。仏生山町には、10以上の地域団体がありお互いに連携し合いながら活動しています。

ー移住をして、大きく変わったことはありましたか?
人とのつながりが濃いですね。神奈川には長くいたのに、近所の知り合いは全然いませんでした。でも仏生山町では、すれ違うとあいさつを交わせる顔見知りがたくさんいます。神奈川にいたときに「もっと地域に関わりたい」と思っていたので、この距離感が心地よいです。

ー移住をおすすめしますか?
おすすめします。ただ、地域活動が面倒だと思う人だと、合わない部分もあるかも。便利さとか、情報の多さの面で、東京での生活が好きな人にも。街によっては、車がなくてもやっていけますよ! 勧められはするけど、わたしは運転が怖いから今後も乗る予定はありません(笑)

 

お話を伺って感じたのは、思っていたほど移住のハードルは高くないのでは? ということ。土地によっては車を使わなくても十分に生活ができることや、東京での生活とは違ったより近い距離感で、地域の方々や街の活動と関われることは魅力だと感じます。また、行政のサービスに頼らず、知り合いづてに移住先を決めたという選び方は、とても面白いなと思いました。
コロナ禍で、都心部から離れる動きが顕著になり、国も追加の施策でさらなる移住を後押しをしている今。「移住」という選択は、意外と遠くないのかもしれません。
都市部への一極集中ではなく、さまざまな土地に関わって生きていく人が増えることで、日本の魅力ある地域がそのまま、魅力を失わずに持続できるのではないかと思います。引き続きそんな選択肢も考えていきたいなあ、そう感じる機会となりました。

 

移住とは違った新しい町との関わり方として、「地域おこし協力隊」についてもご紹介しています。

(文:大沼芙実子、編集:中山明子)

 

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<BIGLOBE社員の編集後記>

SDGsの目標11は「住み続けられるまちづくりを」です。「日本には魅力的な場所がたくさんあります。」大沼さんの冒頭のメッセージにあるように、その魅力をこの先もずっと維持していきたいですね。実際に移住を経験された女性のお話から、移住後の生活の心地よさ、魅力を感じる地域でいきいきと暮らしている様子が伝わってきます。「移住」という選択肢、BIGLOBE Styleの読者の皆様はいかがでしょうか。ぜひ、地域との関わりについて、「地域おこし協力隊」の記事もご覧ください!