パラレルキャリアって何だろう?vol.2 冨永優莉さん

 「BIGLOBE Style」では、「新しい働き方」に関する社内外の様々な事例やトピックスもご紹介しています。今回は、パラレルキャリアvol.2 、冨永優莉さんにお話を伺いました。

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「本業とする仕事の他に、社会的活動の場を持ち、積極的に参加・従事する」ことをパラレルキャリアと言います(出典:新語時事用語辞典)。
社会的な活動の場を広げることによって、人脈・スキルの拡大や、充実度の向上が図れるというメリットがあると言われています。

誰しも悩むキャリアのあり方。
若くして起業家になる人、フリーランスとして働く人、副業で活躍する人、ボランティア活動に従事する人。会社に所属する以外にもキャリアの描き方は十人十色です。
さまざまな働き方が認められてきた昨今であるからこそ「ロールモデルの不在」を感じる人も多いようです。これはとても同時代的な悩みではないでしょうか。

自分のキャリアを考えるうえで、まずは選択肢を知るためにさまざまな人のキャリアについて聞いてみたい。そんな筆者の想いから、この連載ではユニークなキャリアを描いている方にインタビューを実施しています。
第2回はまちづくりNPOの職員や銭湯を中心とした場づくりのお仕事をされてきた冨永優莉さんにお話を伺いました。

 

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<プロフィール>
冨永優莉
Design Researchを学び、街における場づくりに関心を持つ。株式会社博報堂に入社後、特定非営利活動法人シブヤ大学で渋谷のまちへ飛び込む。現在は株式会社アソボットのディレクターとして働き、株式会社銭湯ぐらしのメンバーとしても、高円寺の小杉湯「となり」のイベント企画、ECサイト運営を担当。

 

 
学生の時の思い
ー学生のときはどんなことをされていましたか?
高校生の時にこども新聞の記者をやっていたこともあり、当時はメディアに興味がありました。大学で学生にインタビューをする冊子つくりたい!と、自ら企画・制作する活動をはじめたんです。取り組む中で、自分がやりたいことは話し手と読み手の出会いを作ることで、それは冊子という形ではなくても直接会う「場」でできるのではないかと思うようになりました。それが「場」に意識を向けるようになったきっかけです。
大学時代は他にもアカペラサークルでチームのコンサートづくりの統括役をやったり、どうしたらみんながモチベーションを高く保ちながら活動できるかを考えていましたね。

 

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インタビュー冊子を持つ冨永さん

 

ー学生の時はどのようなキャリアを想い描いていたのでしょうか?
将来像としては、家でピアノ教室をやっていた母の影響もあり、住む場所の近くで働きたいと思っていました。くらしと仕事の距離を近くしたい、と。
当時山崎亮さんの『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』(学芸出版社)という本が発刊されたタイミングでもあって、暮らす街に市民を巻き込んでいくコミュニティデザイナーのような仕事はどこにいったらできるのかなという風にも考えていましたかね。

 

冨永さんのキャリア形成
ー卒業されてからのキャリアについて伺えますか。
広告を広く定義して、場づくりなど自身の興味の先にあることをやりたいと、新卒で株式会社博報堂に入社しました。右も左もわからぬまま必死に働く日々を過ごす中、陸前高田へアカペラを歌いに行く活動がきっかけとなり、現場に出て人と関わる面白さに惹かれていきました。1年半経った頃、自分の仕事として現場に出たい、と決意し、まちで無料の学びの場を提供する特定非営利活動法人シブヤ大学(以下シブヤ大学)に転職します。
シブヤ大学で働き初めてからさらに1年ほど経った頃、友人のFacebook投稿をみて銭湯ぐらしを知りました。自分と同世代が強みを生かして活動する様子に惹かれたことを今でもよく覚えています。そこから、株式会社化した銭湯ぐらしのメンバーとして終業後や休日に活動することになり、現在は株式会社アソボットのディレクターと兼業で働いています。

ー興味深い場所で沢山活動していらっしゃいますね。活動の場所を決めるきっかけになった出来事はありますか?
シブヤ大学で働くことを決めたのは、前学長との出会いがきっかけでした。知り合いを介して初めて出会った際に、学生の時から抱いていた「場づくり」に対する想いを語ったんです。「まちづくり」や「パブリックマインド」について話が盛り上がりました。そして、「シブヤ大学でそれができるかもしれませんよ」と。その日の最後に「よかったらここで働きませんか?」と言っていただいたんです。その後、月に1回程度お話する機会をいただく中で、自分は何をやりたいのかを話していき、最終的に転職を決めました。

 

 

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シブヤ大学での活動の様子

ーシブヤ大学は、縁あって出会われた場所だったのですね。銭湯ぐらしの場合はどうでしょうか?
シブヤ大学の活動の中で、東京で街づくりの拠点となっている場所を私が選んで、韓国の若い活動家の方を案内する仕事があったんです。この機会に以前から気になっていた小杉湯を選んで、お話を伺うことにしました。その時に銭湯を中心に街づくりがなされていることに面白さを感じて、小杉湯のある高円寺に住むことを決めました。小杉湯に通う日々を過ごしていく中で、株式会社銭湯ぐらしで活動するようになりました。生活の中に小杉湯があることはとてもよかったですね。

ー色々な場所での活動を通じて、今までの活動が相互作用している面はありますか?
全てが相互作用してると思います。私の場合はお金をもらえるかどうかを基準に仕事をしていないんです。
これはイタリアで教えてもらったのですが、イタリア語で仕事は”lavoro(ラボーロ)”。「お金をもらえるかどうかではなく、汗水流して、自分が心を込めて動いたものは仕事なんだよ」と教えてもらいました。考え方に共感して、自分もそう思うようになりました。

ー冨永さんの歩みの中では、常に人との出会いが大きな影響を与えていますね。冨永さんのオープンな姿勢・発信する姿勢がそれを生み出していると感じました。
近くにいる人にこまめに声をかけたり、自分から発話することは日々意識していることですね。必ずしも自分とすごく親しい方ではなくても「話してみよう」と思っているかもしれないです。直接声をかけることだけでなく、イベントを企画して発信することも、自身のメッセージとなっているような気がします。
陸前高田市にサークルの先輩が住んでいるのですが、この取材の前日に地域の高校生に向けてオンラインでキャリアについてお話する機会をいただきました。日々心掛けている小さな「頼る、頼られる」の積み重ねがあるから、自分がお世話になっている先輩に頼って頂けたのかもしれません。

 

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「銭湯ぐらし」として活動するメンバー

 

「場」への思い
ーコミュニケーションの方法に変化を余儀なくされる今、「場」の捉え方に変化はありましたか?
これまでは自分が「人と人とが集まる状況をつくるプロフェッショナル」にならねば、と思っていました。しかし、コロナウイルスの影響で、慣れた「利き手」でやってきたことが難しい状況になって。それならば「逆の手」で何ができるのか、ということを今は考えています。企画や編集の力を蓄えることで、一歩引いた目線で場を捉えられている気がします。
例えば、銭湯ぐらしで担当している通販事業ではECサイトという「場」があります。商品というメディアを軸に、どんなコミュニケーションができるか。リアルでもオンラインでも、共通しているのは人との繋がりです。それをもっと面白がれるようになりたい、と思っています。

 

 

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ECサイト「銭湯のあるくらし便」商品と発送業務の様子


ーコミュニティというものの存在をとても考えさせられる局面になった中で、新しい定義が生まれてくることがとても楽しみです。今後どういった活動を行っていきたいか教えてください。
今までは「みんなでやること」に拘っていて、自分自身が生み出すことから逃げていた側面もありました。これからは自分の中から言葉を引き出したり、何かをつくる、形にすることをやっていきたいなと思っています。
また、「何者かにならねば」ではなく、「自分は自分のままでいいんだ」という自己効力感を持てる人が増える社会になればいいなぁとも思っているので、自分もそういう気持ちを大切にしながら人とコミュニケーションを取れるようにしたいですね。

―冨永さん、ありがとうございました。

 

お話を通じて、冨永さんの直感を大事に飛び込んでいく姿勢が感じられました。オープンマインドな振る舞いがあってこそ、面白い試みや場が向こうから近づいてくる状況が生まれ、その新しい場での活動を実現させるのかもしれません。
今回もパラレルキャリアが目的化するのではなく、自分の中で湧き上がる気持ちを大切に、やりたいことに挑戦できる土壌が増えていることを感じられるインタビューとなりました。
キャリアの決断をすることには色々な意見や、迷いが生じることはつきものです。一般論に縛られず、自分は自分の在り方で良いという意識を持ち、健やかにキャリアを歩んでいくことができる人が一人でも増えてくれたらいいなと思います。

 

(インタビュー・文:藤木美沙、編集:中山明子)

  

<BIGLOBE社員の編集後記>

冨永さんの笑顔、とても活き活きとされていて素敵ですね。インタビューから、しっかりとした「軸」や「思い」を持っていることが伝わってきます。新型コロナウイルス感染拡大におり、ビジネス環境は大きく変化をしました。そんな状況でも「逆の手」で何ができるのか、としなやかに自分らしくキャリアを形成されています。

迷いながら、試行錯誤をしながら仕事をしている人が多いと思いますが、主体的にキャリアを形成していくヒントが冨永さんから得られた気がします。

 

 BIGLOBE Styleではチャレンジする若い社員へのインタビューも掲載しています。

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