BIGLOBEの「はたらく人」と「トガッた技術」

楽しく働くために、乗り越える壁がある。良いエンジニアチームを作る、リーダーの心得とは

西 秀和

こんにちは。BIGLOBE Style編集部です。
今回インタビューしたのは、エンジニアチームを率いる基盤横断システムグループのグループリーダー西 秀和(にし ひでかず)。
中途メンバーが多い彼のチームは、エンジニアとして働く満足度が高く、そこには西独自の価値観や仕組みが色濃く反映されていました。
そこで今回は、良いチームを作る「理想のリーダー像」とはというテーマで、西のエンジニアマインドのあり方や、マネジメントスタイルをご紹介します。

苦しいプロジェクトを経て芽生えた「楽しみ」という気持ち

西 秀和

—— まずはリーダーとして、普段心がけていることを教えてください。

 

できるだけ楽しい仕事をしようと思っています。BIGLOBEは、一人ひとりに裁量権が与えられることが多いので、楽しいことを会社の中で探して、自分ができることを増やしていける会社です。

僕にとってその楽しい仕事とは、困っている人を助けて、感謝されること。チームのメンバーとも「あちらの人が困っているからこれをやろうよ」というような会話をすることも多いですね。

 

—— 楽しいことをするという思考は以前から持っていたのでしょうか?

 

いえ、若い頃は与えられた目の前の仕事をこなすことで精一杯だったのが正直なところです。

変わるきっかけは、エンジニアのキャリアを7、8年積んだ頃、大変なプロジェクトを経験したこと。その案件は、委託会社のスケジューリング不備や、担当者が体調を崩すなどで進捗が遅れていて、僕が引き継いだ時には手遅れな状態でした。どんなに手を尽くしたところで、できることは限られており、やってもやっても終わらない……。

 

—— いわゆる“炎上”プロジェクトを経験したんですね。

 

そうです。その期間は仕事を楽しいと感じることができず、このプロジェクトが終わったらどのように働きたいかを考えました。自分は何が楽しくて働いているのかという「問い」に向き合ったそのタイミングが、まさにターニングポイントでしたね。

そこから楽しい仕事をしたいという想いが芽生え、リーダーのポジションになって今はその想いが加速しています。チームには若いメンバーも多く、経験がある僕の方が見えていることも多いので、常に楽しい仕事を見つけていこうと声をかけています。

あともう1つ、その想いに至ったのはロールモデルの存在があります。

 

—— どのようなロールモデルでしょうか?

 

全てにおいて完璧で理想的という方ではなく、人それぞれ得意領域があって、あの人はチームビルディング、あの人は社内調整、あの人はエンジニアとしての姿勢、矜持といった、1つひとつの仕事にロールモデルがいました。困った時に、あの人に聞けば大丈夫だと思い出すような人です。

さらにそういった方々に、なぜモチベーション高く働けているんですかと聞くと、成長したい、世の中で自慢できることをしたい、お金を稼ぎたいなど、それぞれバラバラでした。得意領域もモチベーションも違うなら、自分もそれを探そうと思い、行き着いたのが「楽しく仕事をする人」になることでした。

 

—— なるほど。西さんと言えば楽しく働く人というイメージですね。そのために、リーダーとして意識していることがあれば教えてください。

 

請負根性を無くすことです。例えば、社内のある部署から「こういったアプリを作ってください」と言われて取り組むのは社内の仕事を請け負っていることになりますよね。ただそれだけだと、仕事は楽しくなりません。仕事の楽しさというのは、会社や社会にとって価値のあることを自分たちで考え作っていく働き方から生まれると思うのです。

言われたことだけをやるよりも、もっと価値を作る集団になること。自分たちで考えてエンジニアリングしていく組織を作ることが、楽しく働くことにつながるのではないかと思っています。

勘違いされないように補足すると、もちろん誰かから言われた仕事も担います。ただ、そこに100%を振り切らないように意識することが大事です。会社には会社のビジョンがありそれに共感しているからここで働いています。その上で、僕自身も作りたい世界があるので、余力を残しておくことが楽しいこともできるようになるポイントなのかなと思います。

 

リーダーとして行った、働き方のマインドシフト

西 秀和

—— 西さんのチームは、メンバーの満足度が高いという成果も出ています。他にもリーダーとして、どんなことを意識されているのでしょうか。

 

そうですね。楽しく働くことや、請負根性を無くすなどは精神論的なところもありますが、他にも意識していることや、チームとして仕組み化していることはあるので、要点を以下に紹介します。

 

■自分で価値を出すのをやめる

 

管理職になったとき、自分で価値を出すのはやめようと思いました。マネジメントするメンバーが30人程いるので、みんなが価値を出せるようにシフトしたと言ってもいいかもしれません。

例えば、「これはドキュメントを先に作った方が価値があると思うよ」と伝えたり、「こういう改善をすると、みんながもっと楽に働けるよ」など、自分は手を動かさずにアドバイスしたり提案することを意識しています。

リーダーのやりがいというのは、自分だけでは到底実現できない規模のことができることだと思っています。作戦を練って、多くのメンバーと一緒に大きな成果を出していくには、自分の働き方を変えないといけないなと思いました。

正直、この仕事は自分がやった方が早いよなぁというジレンマを抱くこともありましたが、そのときは全然違う仕事に取り組むようにして気持ちを切り替えるなど、働き方や考え方を変えていきました(笑)。

 

■メンバーに新しい体験を届ける

 

チーム編成を考えるとき気にしているのは、誰に新しい経験や体験をしてもらうかということ。新しいことに挑戦することが一番成長につながるので、その人自身は最初はわからないことが多くて辛い時期を過ごすかもしれませんが、特に若い人には「苦しんでくれ」と言いながらチームに入れています。「助けないけどこの期間は成果を出さなくていい、安心して苦しみなさい」と。短期的に見れば、半年くらいはチームの生産性が下がるかもしれませんが、長期的に見れば、本人の成長に必ずつながるはずです。

実は、以前一緒にチーム編成を考えていた人がそういうスタイルだったので、会社全体としては違う流派もあるかもしれません。でも、1つだけ言えることは、僕みたいにアグレッシブにチームを変えて、新しい挑戦をさせるリーダーもBIGLOBEにはいます。

 

■期待値マネジメントを行う

 

新しく入ってきたメンバーに対しては、「あなたはこの会社に何を期待して入ってきたのか」と聞いたり、僕からも「仕事は仕事で頑張って、でも、こういう風に成長してほしいんだ」と伝えています。お互いどんなことを期待して、どんなことをやりたくないのかなどすり合わせる時間ですね。

その際、僕個人の意見だけではなく、できるだけ会社のストーリーに沿って説明するようにしています。例えば今のBIGLOBEなら、インターネットプロバイダーと別軸で新規ビジネスを立ち上げたいという話をしていて、そのために僕らエンジニアサイドは何ができるだろうといった話をします。結果、システムをリプレイスし生産性を上げて、技術力を高め、新規ビジネスに取り組める人材を増やすこと、そのために成長していくことが大事だというストーリーを伝えています。

西 秀和

■1on1で想いを伝える

 

BIGLOBEには1on1という制度があります。今回、僕がメンバー全員に聞いたのが、「この1年はどう成長するの?」という質問でした。本人のモチベーションをとても大切にしているので、想いの根幹は何だというところを掘り下げています。

例えば、みんな始めは給料が増えることをモチベーションにしているようなことを言いますが、寝る間も惜しんで取り組める面白いことは何だと聞くと、なかなか答えられません。でも、それを問い続けると、だんだんと本音が出てきます。正直、エンジニアという職種は、生産性の違いが如実に出てきて、人一倍働けというが、実際は10倍100倍アウトプット量が変わります。だからこそ、本人が成長したいこととか、モチベーションは何だということを問いているんです。

もちろん、1on1だけで伝えるのは難しいし、扇動してはいけないので、成長して技術力が上がればこんな楽しく働けるよというのを実際に見せてあげることが大事なのかなと思っています。僕たちと考えが近い人たちを巻き込んで、楽しい世界=文化圏を広げていくことがリーダーの役割でもあると思っています。

 

■プライベートとのバランス

 

正直、僕は仕事とプライベートのバランスに関してはほとんど境目がありません。どの行動からも学びがあるし、休日も勉強します。しかしメンバーには、プライベートで必ず勉強しなさい、技術系のイベントに行きなさいと強要はしません。でも、やっている人もいるよとは伝えるようにしています。エンジニアは、やっている人がいる限り自分がやらないと差が出てきてしまい、長期で見ると損をしてしまうこともあるということを正直に話しています。

ただ繰り返しますが、プライベートまでは強要しないので、気づきを提供し、どう取り組むかは本人に任せています。

 

メンバーが成長した先で、リーダーとして実現したいこと

西 秀和

—— 今後どのようなビジョンをお持ちですか?

 

今、部署として取り組んでいるのは、経済産業省がDXレポートにて提示した「2025年の崖」をBIGLOBEとしても越えること。古くなったシステムをリプレイスする上で、今までは言われたことに取り組むことが多かった仕事のスタイルも一新し、この仕事は会社にとってどういう価値があるのかを自分たちで考え決めていくフェーズになりました。今あるシステムを、右から左へ作り直して完了したとなると、お金だけかけてちょっとだけよくなる程度なので、もっと仕事の本質に向き合う必要があるのです。

きっと、2025年を無事に乗り越えれば、メンバーももっと成長して育っていると思うので、またそのタイミングで一番楽しそうな課題の解決に取り組んでいくのではないかと思います。

 

—— そのタイミングで西さんご自身は何かしたいことはありますか?

 

自由に作りたいものが作れる世界があったときに何を作りたいか? 実は、僕自身にはそれがなくて、「こういうモノを作りたいんだ」という人がそれを実現できるように、もっとプロダクトに近い方で支援していきたいです。

例えば、モノを売るための販促担当や営業担当がこんな売り方をしたいと思ったときに、 バックエンドのシステムがもっと良いものになれば、より良い売り方ができるようになります。他にも、企画したことを実現したいときに、こういう技術を使えば簡単にできますよと提案できたり、そういったシステム部分は僕らが考えるので、やりたいことだけやってくださいと言えるようになりたいですね。

 

—— 最後に、この記事を読んでいただいた方にメッセージがあればお願いします。

 

エンジニアとして苦しい思いをしたい方には、僕のチームに入ってきてもらいたい(笑)。逆に、会社から言われたことをちゃんとやりたい会社員を目指す人は僕のところに来ない方がいいですね。その姿勢で仕事をするのは楽だけど楽しくないし、成長も鈍ってしまうから。

なにも、規律正しく与えられた仕事をする会社員になるなと言っているのではありません。フリーランスなどと違い会社員は大きなビジネスを任せてもらえて、成功すれば大きな成果が出るプロジェクトに責任のある立場でジョインできることは大きなメリットだと思います。ただ、エンジニアマインドまで会社員に染まってしまう必要はありません。

自分で仕事を生み出したり、大きな壁を乗り越える苦しみを味わう中でエンジニアとして成長した結果、会社に価値を提供できるというのが目指すところです。そういった働き方をしたい人が僕のもとに来てくれると、上手くマッチするのかなと感じます。

 

—— 西さんのもとで働くことで、メンバーがエンジニアとして面白さを感じられる背景がわかるインタビューでした。本日はありがとうございました!



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