令和のイノベーションを加速するヒントとは?「BIGLOBE Style イノベーションミーティング2020」レポート(後編)

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イノベーションを起こす人や新しい働き方をピックアップするメディア「BIGLOBE Style」のオープンを記念したトークイベント「BIGLOBE Style イノベーションミーティング2020」。

法律家 水野祐さん、NONA REEVES 西寺郷太さん、DIGDOG代表 陳暁夏代さん、編集者 仲山優姫さん、リーマントラベラー 東松 寛文さんの5人の異業種イノベーターをスピーカーに、映画解説者の中井圭さんをモデレーターに迎え、大いに語っていただきました。

「イノベーション」をテーマに二部構成で行われたクロストークから、令和の日本を加速するヒントが見えてきました。その模様をダイジェストでお伝えします。今回は、後編です。

スモールコミュニティが生み出す「先祖返りのイノベーション」

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西寺:次の「カフェライブ」は僕です。NONA REEVESの活動で、地方のカフェを使った弾き語りのライブツアーをしています。チケットがすぐに売り切れることもあるのですが、人が集まる理由は音楽を聞けるだけではなく、仲間と会えることにもあると思っていて。色々な場所で交流を積み重ねていくと、大きな支持につながると感じています。

中井:近い経験のある方はいらっしゃいますか?

東松:スモールコミュニティという文脈で、僕は旅行好きなサラリーマン向けのコミュニティを運営しています。そこに集まる皆は、僕の話を聞くだけではなく、職場で旅好きを公言しづらいサラリーマン同士が交流する場として楽しみにしてくれている側面もあります。セグメントを絞ることで共感や安心感が生まれやすいのではないかと感じます。
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東松 寛文(リーマントラベラー)
1987年岐阜県生まれ。平日は広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する"リーマントラベラー"。社会人3年目に旅に目覚め、6年間で67カ国146都市に渡航。2016年、3ヶ月で5大陸18カ国を制覇し、世界一周を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TV・新聞・雑誌等のメディア出演・執筆多数。全国各地で講演も実施。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。『サラリーマン2.0』は台湾にて中国語版も発売中。



仲山:コルクでは、読者同士で作品の感想を共有する「読書会」という公式ファンイベントを開いています。『宇宙兄弟』は地方のファンがすごく多くて、2月末には佐賀県・武雄市の図書館でイベントを予定しています。

中井:地方の図書館の使い方として面白いですね。海外の例としては、ニューヨーク公共図書館が本の貸し出しにとどまらず、幅広い教育プログラムを提供していることで有名です。フレデリック・ワイズマン監督作品のドキュメンタリー映画(『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』)もいい作品ですよ。

陳暁:イノベーションには「テクノロジーに上乗せされた新しい仕組み」と「先祖返り」の2種類があるんじゃないかと思います。私はお寺や古いダンスホールでイベントを主催することがありますが、古い施設も若者にとっては目新しいコンテンツになりえます。新しいものが取りざたされる中で忘れ去られている場所に、違う要素を加筆していくイメージです。カフェや図書館の活用も、後者の「先祖返り」にあたるのではないでしょうか。

会社主導の「働かせ方改革」から個人主導の「休み方改革」へ

後半はイベントを主催する「BIGLOBE Style」編集長の桑原晴代をスピーカーに加え、「時代が求めるイノベーションと働き方の未来」と題したパネルディスカッションを行いました。
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中井:ディスカッションのテーマは「働き方改革の向こう側」です。皆さんが昨今の「働き方改革」についてどう捉えているか、どうなっていくべきだと思うかをお聞きしたいです。

東松:会社にとっての「働かせ方改革」の側面が大きくなってしまっていると思います。従業員をどう休ませるかに主眼が置かれていて、当の社員はどうしたらいいか分からないのが現状です。だからこそ僕は、リーマントラベラーの活動で「休み方改革」を提唱しています。僕は週末に世界旅行をするようになってから、週末もダラダラと仕事をしていた状況から自発的に働き方を変えるようになりました。

桑原:いまは国や会社が主体となって「働き方改革」を推進していますが、次に訪れるのは自分改革のフェーズだと思います。環境が整った後に「あなたはどうしますか?」と問われる日が近づいてきています。
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陳暁:「働き方改革」は一部の人にとって過酷な要望ですよね。日本では、平日は無心で働いて週末は寝るだけ……という社会の歯車として生きている方がラクなんですよね。その理由は教育制度にあると思っています。海外には自分の好きなことを表明するカリキュラムがあるけれど、日本にはありません。大人になってからいきなり「好きなことに時間を使おう」と放り出されても難しいんですよね。

水野:同感です。趣味を覆い隠しているんじゃなくて本当に趣味がないというか。夢中になれるものとどう出会うかが課題ですね。

西寺子供にコンテンツ費をあげればいいんですよ。

中井:確かにそうだ。

一同:(笑)。

仲山:ですね。皆が自由に使える時間が増えてコンテンツに触れるようになれば、コンテンツの質も上がっていくのではないかと期待しています。

「令和」という口実を使おう。イノベーションは言葉から生まれる

中井:最後に、皆さんが思う「イノベーションが起きるときに必要なこと」を教えてください。

陳暁:私は「受容性」だと思っています。新しい概念や知らない価値観、仕組みがこれからどんどん増えていきます。そのときに心のドアを閉じないことが必要なんじゃないかと思います。

東松:同感です。経験則で「できること」「できないこと」を決めるのではなく、自分の「やりたいこと」に向き合ってみることがイノベーションにつながると思います。僕がサラリーマンを辞めずに世界一周にチャレンジしているのも、その一環です。

水野:普段は出会わないもの同士が出会う確率をいかに上げていくかだと思います。今日の話で気になっているのは、陳暁さんが「情報技術のイノベーション」に加えて「既存のものを新たな目線で再評価する」こともイノベーションだとおっしゃっていたことです。後者はこれから更に面白くなっていくと思いますね。

仲山:負担を強いずに始めて、結果的に支持者が増えているのがイノベーションだと思います。自分が好きなものや大事なものを大切にしながら、できそうなことなら乗る、できなさそうなら乗らない、という無理をしない空気感が好きです。
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西寺:僕は言葉の力が大きいと思っています。「今までとは同じではいけない」という暗示が必要です。映画『ブギーナイツ』に、主人公が「グッバイ70s、ハロー80s!」と乾杯するシーンがあるんですね。日本で2000年代と2010年代に大きな変化がなかった理由には、そういう言葉の不在もあると思います。2020年は「20年代」って言いやすくなるし、偶然にも元号が変わったこともあって、物事が大きく変わるんじゃないかと思います。

陳暁令和ってすごく便利な口実ですよね。今年は色々と重なっている、すごくいい年です。「2020年だし」「令和だし」をどんどん使えばいいと思います。

桑原:西寺さんから「節目の時期」という話がありましたが、BIGLOBEとしてはやはり今年の5G到来は外せません。我々も新しい波の中にいると感じているので、今日のトークをもとに新しいことにどんどん取り組んでいきたいですね。採用も強化していきます。

中井:皆さん、ありがとうございました。
(文:中山 明子 撮影:加川 拓磨)
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「言葉の力で変えていく」という指摘は、意識によって状況が変わることを意味します。
いみじくも、現在、コロナの影響で社会が閉塞感を感じている状態です。この全世界に拡大する危機的状況に誠実かつ真摯に向き合うと同時に、前向きな言葉でリードすることで時代を変えるチャンスにもなり得るのではないでしょうか。そんなことを本イベントが教えてくれたような気がします。

以上、BIGLOBE Styleイノベーションミーティング2020のレポートでした。