SDGsってなんだろう。20代のわたしが気付いた「半径2メートルの社会課題」

「BIGLOBE Style」では、「SDGs」をテーマに社内外の様々な事例やトピックスも今後ご紹介していきます。
今回は、ライターの中山明子さんが「SDGsってそもそもなんだろう」という、今更なかなか聞けないけれども、改めて知っておきたいことをまとめてくれています。

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帰り道の東急線で、色とりどりのモザイクに彩られた車両に乗り合わせた。周囲を見渡せば、車内広告には「自然を大切にしよう」だとか「平等な人権を」だとか、そんなことが書いてあった。中吊りには「SDGsトレイン」とある。どうやら、SDGsとやらを啓発するためのラッピング列車のようだ。

私には実感がなくてよく分からない話だ。20代、会社員、独身、一人暮らし。我ながら「今どきの若者」らしい感想だと思う。

でも、最近こういうのって多いよなぁ。
ニュースでもいつのまにか枕詞のようにSDGsが登場することが増えた。上場企業に勤める友達によれば、社会課題を意識するように社内で口酸っぱく言われるのだそうだ。

ここまで皆を駆り立てるSDGsって、一体何なのだろう?
十数年ぶりに夏休みの自由研究に取り組むような気持ちで、調べてみることにした。

SDGsは「よりよい世界」のための目標

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字をとった略語だ。外務省のウェブサイトでは、こんなふうに説明が加えられている。

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持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
(外務省ウェブサイトより https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
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SDGsは最近のブームだと思っていたけれど、策定されたのは5年も前のことだ。この数年でよく耳にするようになったのは2020年が一つの節目だからなのだろう。今年は、SDGsが掲げる目標達成まで残すところ10年。本来ならオリンピックイヤーを迎えるはずだった東京の街は、世界に向けてSDGsを発信しようと準備を進めてきたのだろう。

SDGsの説明はこのように続く。
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17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
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「開発目標」というと途上国の貧困や経済発展のことを思い浮かべてしまうが、SDGsはそういうわけではないようだ。あらゆる国で、国際機関や政府だけでなく、民間企業や市民社会まで行動が求められている目標なのだという。

中学生向けのパンフレットを眺めていたら、対象は「子どもも含めた全ての人」とあった。もちろん、20代の私も例外じゃない。そもそも、個人もSDGsの目標を担っているなんて知らなかった……。いっぱしの大人として痛いところを突かれてしまった。

意外と他人事じゃなかった、SDGs「17のゴール」

SDGsは17のテーマごとに達成すべきゴールが設定されている。私がラッピング電車で目にしたカラフルな色使いも、これらのゴールを模しているそうだ。

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それぞれのゴールを日本語訳した内容は、以下の通りだ。
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1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
2:飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
3:あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4:全ての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
5:ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を行う
6:全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7:全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8:包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9:強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10:各国内及び各国間の不平等を是正する
11:包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12:持続可能な生産消費形態を確保する
13:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14:持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15:陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、全ての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

(「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」日本語 外務省仮訳 より:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402.pdf
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国連が掲げるのだから、抽象的で壮大な目標だ。果たして、自分にできることなんてあるのか……。不安を抱えながら読み進める私の目に留まったのは、17のゴールに紐づくアジェンダだ。各ゴールを達成するために解決すべき課題が示されており、160を超える項目のなかにはこんな内容も含まれていた。

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2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる
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「各国定義によるあらゆる次元の貧困状態」ということは、日本のワーキングプアやひとり親世帯の貧困も対象だ。

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・公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
・2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
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家事労働や働き方に対する議論は、日本のソーシャルメディアでひんぱんに議論されているテーマの一つだ。私もフルタイムで働く女性として関心を持っている。

へえ、意外と身近な話題も多いんだな。遠い途上国の話だと思っていたことが、急に実感をもって目の前に現れてきた。

20代の私たちが笑って生きるために、SDGsを味方にしよう

SDGsのアジェンダを見ていて驚いたのは、このように生命を直接おびやかすわけではない課題も多く含まれていることだ。これまでは「自分で何とかしろ」と言われていたような悩みも「社会で解決するべきこと」として定義されていることに、なんだか心が軽くなる。

振り返ってみれば、20代の私たちは何かと自助努力を求められてきたように思う。生まれた時から不景気で、上の世代が苦しむ姿から「一度でも社会のレールから外れたら誰も助けてくれない」とプレッシャーを感じてきた。だから少しでもいい学校を出て、会社が潰れても困らないだけの能力を身につけて、共働きの家庭を築いて……そうやって、すごろくのマスを進めるように順調な人生を送ろうとしてきた。

でも、パンデミックという巨大な理不尽に襲われたこの1年で、誰かの頑張りがいとも簡単に覆される様子を目の当たりにしてきた。もう、自助努力だけではやっていけない。そう気付いてしまった私たちにとって、「半径2メートルの社会課題」にも手をさしのべるSDGsは大きな味方になってくれるはずだ。

SDGsの達成が問われるまであと10年。30代の私たちが笑顔で生きられる世の中にするために、今から目を向けてみてもいいのかもしれない。

(文:中山明子)

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