「男性・女性・その他」のその先へ

「BIGLOBE Style」では、「SDGs」に関する社内外の様々な事例やトピックスもご紹介していきます。
今回は、ライターのおのれいさんが、両親とのやり取りを通じて感じたジェンダーに関する気づきを執筆しています。

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あなたは「男性、女性、その他」? 突然の問い

結婚をきっかけに新生活が始まり、面倒な事務手続きをする日が続いた。「またいつものやつか」と、半ば無意識的に個人情報を入力していたのだが、ある項目で手が止まった。

性別:◯男性 ◯女性 ◯その他


いつもより選択肢が多い。「男性」と「女性」の二択の時には迷わず「女性」を選択していた私に、新たに「その他」という選択肢が提示された。突然示されたジェンダーへの問いかけに戸惑ったが、「性別は男女の枠では十分ではない」と理解されたのだと嬉しさが込み上げてきた。一方で「その他」と一括りにされた表現に腹も立った。そして、「その他」にひとまとめにされたのはどういった性なのか、今回に代表されるような日常的な分断を無くすにはどうしたら良いのか、知りたいと思った。

「LGBT」とは

耳にする機会も増えた「LGBT」という表現。これはさまざまな性の頭文字を取った言葉で構成されており、セクシャルマイノリティの総称の一つとして使われている。

 L:女性の同性愛者(Lesbian:レズビアン)
 G:男性の同性愛者(Gay:ゲイ)
 B:両性愛者(Bisexual:バイセクシャル)
 T:こころの性とからだの性との不一致(Transgender:トランスジェンダー)
出典:法務省ウェブサイト(http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00126.html

その総称は今も増え続けており、最近では「LGBTQ(LGBTに「”Questioning”(クエスチョニング)=性的思向や性認識がはっきりしない、決められない、あるいは悩んでいる状態のひと」を含む)」や「LGBTQIA+(LGBTQに「”Intersex”(インターセックス)=一般に定められた「男性」「女性」のどちらとも断言できない身体構造を持つひと」・「”Asexual”(アセクシャル)=誰に対しても性的欲求や恋愛感情を抱かないひと」・「”+”(プラス)=まだ名前のついていない性やセクシャルマイノリティ」を含む)」も登場している。この変化はまさに人間の性のあり方を示している。見た目が同じ人がいないように、一人一人が抱える性も違い、表す言葉も一つに限定されないのだ。

「この人は男性なの、女性なの?」

家族でテレビを見ていた時、ジェンダーレスのタレントを見た父が言った。
「この人は男性なの、女性なの?」
父からのその問い自体がナンセンスだと思った私は「それ重要?性別とかどうでも良いじゃん」と一蹴してしまった。しかしその日の夜、母から「私たちは何をするにも『男らしく』、『女らしく』という言葉がついてまわった時代を過ごしたの。その苦しさに耐えられず命を絶ってしまった友人もいた。今がそういう時代じゃなくなったってことね。とても嬉しいことだけど、私たちもまだ環境に追いつけないのよ、悪気はないの。でも嫌な思いをさせてごめんね。」と言われた。

振り返ってみれば、20代の私は幼い頃から男女の2つの性だけに限定されない環境で育ってきた。小学生の頃に見ていたテレビ番組には必ずジェンダーレス芸能人が出ていたし、中学生の頃には女性同士のカップルが誕生していた。高校の制服は、性にかかわらず自由に選択できた(男性はスラックス、女性はスカートという決まりはなかった)。社会に出た今でも、セクシャルマイノリティの幼なじみがYouTuberとして自身の体験を赤裸々に語っている姿を目にする。この環境のおかげで、性に縛られた「セクシャルマイノリティ」としてではなく「一人の人間」として相手と向き合う感覚を自然と身に付けられてきたのだと思う。

私をとりまく環境は決して一般的ではなかったかもしれない。それなら、私のジェンダーに対する感覚も特殊なのだろうか?

世代別にみる「LGBT」への理解度・関わり方の違い

実際に世代別に「LGBT」という言葉への理解度や、関わり方について調査した結果は以下の通りだ。私の世代(20代)と親世代(50代)では、LGBTに対する認知や姿勢に大きな差があることが分かった。

【問】LGBTとはセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつということを知っていますか
【回答】知っている・何となく知っていると回答した人の割合
20代:70.6%
30代:69.2%
40代:68.3%
50代:66.7%
【問】LGBTの人たちに不快な思いをさせないために、あなたはLGBTについて正しく理解をしたいと思いますか
【回答】そう思う・ややそう思うと回答した人の割合
20代:80.5%
30代:75.4%
40代:78.3%
50代:71.2%
f:id:biglobes:20201218152004p:plain 出典:株式会社電通 電通ダイバーシティラボ「LGBT調査2018」より
https://www.dentsu.co.jp/news/sp/release/2019/0110-009728.html


この調査結果が裏付けるように、あの日の両親との何気ないやり取りにこそ、日本社会のセクシャルマイノリティに対する認識のギャップが表れているのだと思った。

「男性・女性・その他」の先へ

「男女の2つの性に区別するしかない環境で育った人たち」と「LGBTをマイノリティと感じない環境で育った人たち」とが同じ時代を生きる今、互いの前提の違いを知ることこそが、セクシャルマイノリティ理解への第一歩となり、将来的には「セクシャルマイノリティ」という言葉自体が無い、性に関係なく皆が生きやすい環境を創ることになるのではないか。
ところで、私が回答した別のアンケートでは「性別:◯男性 ◯女性 ◯区別したくない」となっていた。相互理解へと一歩踏み出し対話を続けた先に、私たち日本社会はどんな選択肢を生み出せるのだろうか。

(文:おのれい、編集:中山明子)

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