もっと自分らしく世の中と関わるためにーー「プロボノ」のすすめ

「BIGLOBE Style」では、「SDGs」や「働き方」に関する社内外の様々な事例やトピックスもご紹介していきます。今回は、ライターの大沼芙実子さんが、「プロボノ」について執筆しています。

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社会人になって早8年。学生時代は自分なりに、やりたいことのできる会社、在りたい社会に近づける会社を考え、就職をしました。ただ、いざ仕事を始めると、すぐにやりたい仕事に関われるわけではありません。せわしなくしているうちに自分のスキルを見つめ直す機会が減り、「あれ、わたしは何がしたかったんだっけ? そもそも今、自分にどんな価値があるんだろう?」とキャリア迷子になってしまう……。そんなことはないでしょうか?

まさにわたしはそんなモヤモヤを抱えていました。転職や副業といった選択肢もあるけれど、まず今の自分の価値を試したい。でも、何から始めよう?
そんな悩みを抱えていた時、友人から教わったのが「プロボノ」という活動でした。実際に5ヶ月ほどプロボノ活動をしてみて、自分なりに感じた魅力をご紹介します。

 

「プロボノ」ってなに?

プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」が語源で、「社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かしたボランティア活動」のことです。一般的なボランティア活動よりも、職業上培ったスキル等を活かし社会に貢献する意味合いが強い活動です。

 

(参考)様々な「働き方」の概念例

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 ※調査・ヒアリングをもとに筆者作成

 

日本では現在、一人一人の活躍の幅を拡げていく動きが顕著で、なかでも「副業」に焦点が当たることが多く、希望者も増加傾向にあります。副業は本業以外の仕事で収入を得ることで、自らのキャリアを拡げる一助になることは間違いありません。ただ対価(報酬)を前提とする働き方であるため、発注者の要望に対して成果を出すことが求められたり、公的機関の活動には関わりにくかったりする側面もあります。

プロボノ活動も、個人が職業上培ったスキル等を活かして働くことに変わりはありません。しかし「公共善のために活動する」という目的が前提となるため、公的な活動も含めて関われる活動の幅が広がります。また、ボランティアの立場から「発注者と受託者」という関係に縛られずに活動に関わることもできます。
まだ副業が解禁されていない企業が多くある中で、プロボノは社外の活動に関わる方法としても活用できます。2019年の調査によれば、副業を「すぐにでもしたい・いずれしたい」と考える人の割合が64.3%に対して、実際に会社が副業を「認めている」と回答した人は30.8%しかいませんでした。社外へと活動の幅を広げるための一歩としても、プロボノ活動は有力な選択肢になるでしょう。

 

 
「副業をしていない人のうち、副業を希望する人の割合」

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「副業が認められている会社の割合」

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(いずれも2019年12月10日(火)~12月12日(木)、パーソルプロセス&テクノロジー ワークスイッチコンサルティング調べ
https://www.persol-pt.co.jp/news/2020/03/11/4204/

 

プロボノ、どうやって始めるの?

現在日本では、プロボノ希望者と、プロボノを依頼したい団体(NPO、自治体、民間企業など)とをつなぐプラットフォームが複数あり、簡単に自分のスキルを活かせる活動を探すことができます。

わたしは友人から教わったプラットフォームを利用しました。ホームページを確認すると、ちょうど新規プロジェクトの参加者を募集している時期。すぐに説明会に参加しました。説明会ではいくつもの団体が紹介され、「どんなことを依頼したいか」「どんなスキルのある人に参加してほしいか」といったプロジェクトの概要説明がありました。どれも会社の業務では携われない領域で、とてもワクワクしました。

 「そういえば、世の中とどんな風に関わりたかったんだっけ?」自分なりに頭を整理した結果、わたしが応募を決めたのは、地方創生や自然保護活動を行うNPOのプロジェクト。今の会社を志望した理由も「地方を元気にしたい」という想いからでした。その気持ちを思い出すと、ますます「このプロジェクトに関わりたい!」と、エントリーを決めました。

プロジェクトの志望理由や、職務経験などを記載したフォームを送信してエントリー完了です(※)。改めて自分の職務経験を言語化することで、これまで関わった仕事、これからに繋がりそうなスキルの棚卸になりました。また、就職活動当時は「自分ごと」として貢献したいと思っていた、「地方創生」というキーワードが、いつの間にか少し遠いものになってしまっていたこと、それでもやはり関わりたい想いが強いことにも気がつきました。

※申し込み方法は、わたしが今回プロボノ登録をした「認定NPO法人サービスグラント」の場合のフローです。マッチングを行う団体によっては、説明会は実施せず、ホームページ上で募集要項を確認した個人が、直接お手伝いをしたい活動にメッセージを行うなど、エントリー方法は異なります。

 

「そのままの自分」でプロジェクトに関わり、強みを見つめ直す

数週間して「プロジェクトメンバーに選ばれた」と連絡があり、チームでの活動が開始しました。メンバーは20代~50代まで、業務経験も様々な6名です。わたしたちに課されたプロジェクトは、NPOの新しいパンフレットデザインの提案です。8月のキックオフから12月の最終プレゼンまでの間に、毎月2、3回程度、Zoomで2~3時間のミーティングを行ったり、Slackを活用して情報共有したりと工夫しながら活動しました。メンバーは、本業が多忙でも時間を作ってしっかりとタスクをこなす方ばかりで、刺激をもらいながら前向きに活動することができました。

 活動の中で新鮮だったのは、会社名や肩書きにとらわれず、そのままの自分としてプロジェクトに関われたこと。考えてみると、社会人になってからのわたしは「働く=『○○社の自分』として行動する」という認識に近く、個人として意見を述べる機会はあまりなかったように思います。互いに会社名も言わず、大学のグループワークのようなラフな雰囲気で、年齢・会社の違う人たちと自由に議論ができたのは、実はとても貴重な経験でした。

 その他にも、グループワークの中で自分の得手不得手を見つめ直すことができたり、仕事でやったことのなかった、分析作業やクリエイティブな作業にも関わることができたりと、自分の経験値を広げられました。また、本業の人事業務で若手社員と関わる機会が多いことから、若手層のニーズを探るためのインタビューやアンケート調査を提案したところ、根拠を裏付けるデータに繋がり、思わず本業の経験が活きた形に。今の自分だからできることを、見つめ直す機会にもなりました。

もう一つ大きなこととして、会社の仕事ではなかなか感じられなかった「社会との関わり」を直接的に感じられたことがあります。今回関わったNPO活動を通じ「自然保護」という新たな社会課題が自分ごとに近づきました。同時に、もともとわたしが持っていた「地方を元気にしたい」という問題意識も、改めて再認識する機会になりました。

プロボノは従来の定義だけにとどまらず、「自分の可能性を拡げる腕試しができる場所」としての価値が大きいと感じます。会社では異動をしないと関われないことにも、プロボノ活動の中では「やってみたい!」と自由に手を挙げ、仲間に助けられながら挑戦ができました。

 

どんな風に世の中と関わっていこう? 手に入れた新しい選択肢

プロボノ経験は、わたしに新しい選択肢も与えてくれました。それは、社会貢献は会社に求める必要はなく、自由に社外で動くことでもできる、ということ。「関わりたいものがあるなら、社内外関係なく動いてしまえ!」という認識に変わりました。ちょうど、プロボノ活動中に会社のキャリア面談があったため、社外でこんな経験をしている、こんなスキルにチャレンジしている、ということを会社にPRすることもできました。社外での経験を会社にアピールできる、という発想は新しいものでした。

調べてみると、わたしと同様にプロボノに興味を持ち、活動に参加をする人は増加傾向にありました。また、一度やってみて魅力を知ったことで、継続していくつものプロジェクトに関わっていく方もいるようです。

 


「プロボノ参加登録者数の推移」

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出典:認定NPO法人サービスグラント「数字で見るサービスグラント」より
https://www.servicegrant.or.jp/about/census/

 

SDGsを推進することは、「自分ごとを増やしていくこと」ではないでしょうか。今回の活動を通じ、わたしは元々自分ごとに感じていた社会課題を再認識しただけでなく、新しい自分ごとを増やす機会にもなりました。自分の今立っている枠を超え、社会に関わる新たな視点を持つ手法としても、プロボノはとても価値のあるものだと思います。

そんな風にして、キャリアの幅も、「自分ごと」の幅も、拡げていきませんか。
その一歩目として、「プロボノ」を選択することを、わたしはお勧めします。

 


(文:大沼芙実子、編集:中山明子)

 

<BIGLOBE社員の編集後記>

企業の副業解禁の動きがこの数年で活性化していますが、まだまだ副業を許可していない会社の方が多数派です。もちろん副業を通じて収入を増やしたいと考える人も多いと思いますが、大沼さんのように、従来とは違う業務を通じて、自分のキャリアの見つめなおしを行って、自分の力を社会に役立てたいと考える人も少なくないと思います。その意味で、会社としての制約が少なく、これまでとは違う自分を見出すことが可能な「プロボノ」という選択肢は、とても良いもののように思います。世の中はソーシャルグッドに大きく舵を切りつつある中で、そのエッセンスを社外で感じることで、会社にとっても良いフィードバックが可能なのではないかと思います。

ちなみにBIGLOBEでは、社員の副業が許可されています。実際に副業をしている社員が私の身近にもいますが、とても生き生きとしていることはもちろん、副業で得た経験を当社の業務にも反映しています。自分らしくはもちろん、世の中にとっても意味の大きな働き方は、これからの時代に重要だと思いました。

 

 BIGLOBEでは副業が制度として認められていますが、実際に副業をしているBIGLOBE社員のインタビューを行いましたので、ご覧ください。

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