近年、女性活躍推進は社会全体の重要なテーマとなっており、多くの企業がその活動に力を注いでいます。なかでも、女性のキャリア形成やワークライフバランスの実現が、持続可能な成長の鍵とされています。このような背景の中、BIGLOBEでは、2024年9月20日にKDDI株式会社、及び中部テレコミュニケーション株式会社(ctc)と協力し、3社合同女性社員交流会を開催しました。
本交流会では、各社の女性管理職をパネリストに迎え、女性の更なる活躍を促進するためのアイデアの共有や、直面する課題や解決策などのディスカッションが行われました。今回の記事ではその模様をお届けします!
はじめに
本交流会は、「管理職になろう!」と直接的に呼びかけるものではなく、これからのキャリアを考えるにあたって、管理職の働き方を知る機会を提供することを目的としています。他社の管理職の考えも知ることで参加者がさまざまなキャリアパスを理解し、その結果として選択肢を広げることを目指しています。
当日のアジェンダ
①はじめに
②参加者同士の自己紹介
③女性管理職(パネラー)のプロフィール
④パネルディスカッション
⑤参加者座談会
⑥懇親会
参加者同士の自己紹介
各社から参加したのは、20-40代の女性社員。職種は人事、経理、企画、営業、エンジニアなど幅広く、仕事とライフステージの環境もさまざまです。
今回参加した意気込みとして「結婚後のキャリアの参考にしたい」「長いキャリアの中で何を大事にしてきたのか知りたい」「女性管理職の働き方や考えを知って自社に持ち帰り女性活躍推進の一環にしたい」といった声が聞かれました。
個々のライフステージにおけるキャリア形成への関心の高さに加え、組織全体での変革を促進しようとする意欲を感じます!
女性管理職(パネラー)のプロフィール
出井 真知子さん
ビッグローブ株式会社
営業統括本部 オンラインセールス部 直販1グループ
グループリーダー
新卒で入社後、メディア事業を担当。産・育休を経て復帰後、時短勤務を利用しながら仕事と育児を両立。その後、通信事業の部門へ異動し、子どもの成長に伴って徐々に通常勤務へと移行し、数年後には管理職に就任。
自らの意志で新たな挑戦を求めつつ、ライフステージに応じた働き方を自身で選択し、キャリアを築いている。
田辺 祥子さん
KDDI株式会社
パーソナルコーポレート本部 人財開発部 採用グループ
グループリーダー
新卒入社後にカスタマーサービス(CS)へ配属、その後営業部門へ異動。
管理職に就任した数年後に産・育休を取得。2023年に人材開発部へ異動し現在に至る。
複数の部署を経験しながらキャリアを築き、管理職としての役割を担いつつもライフイベントを経て職場に復帰するという、柔軟で多様なキャリアパスを示している。
鎌田 弥来さん
中部テレコミュニケーション株式会社(ctc)
コンシューマ営業本部 コミュファお客さま部 サポート1グループ
グループマネージャー
新卒でコンシューマ営業のサポート部門に配属。その後広告宣伝部門へ異動となり、管理職に就任。2024年度よりお客さまサポート部門へ異動し現在に至る。
島野 いずみさん
KDDI株式会社
パーソナル事業本部 パーソナルコーポレート本部
本部長
新卒で入社し営業施策や統計、人事を担当。産・育休を経て管理職に就任。時短勤務とフルタイム勤務を柔軟に選択し、育児と仕事の両立を図りながらキャリアを築く。
グループリーダー、部長を経て、現在はパーソナルコーポレート本部の本部長としての役割を担う。
パネラーの自己紹介の後、島野さんからご自身の経験を共有する時間が設けられました。
「私の子供はもう大学生です。ですので、これからみなさんが直面するであろう壁を全て経験してきました」
そう語る島野さんは、結婚・出産して働く女性が少ない時代に、家庭と仕事の両立を模索しつつ、悩むよりトライしようとキャリアを積み重ねてきました。子どもの体調不良などで仕事に穴を空け、周囲に迷惑をかけることに思い悩み、退職を考えたこともあったそうです。
しかし、そんな時に上司から「あなたにとって働くことの意義とは」と問われたことで、仕事と家庭の両方を大切にしたいと再認識し、人に頼ることを学んだといいます。
その後、会社、家庭双方からの励ましが大きな後押しとなり、管理職への打診に対し、挑戦することを決意。自分自身のスタイルを貫きながらキャリアを築いていくことを目指しました。
部長への昇進の際には、責任の重圧に「大切なものを失ってしまうのでは」という不安を抱えたものの、上司からの「あなたの大切なものを大切にしながら、あなたなりのキャリアを考えてみてほしい」という言葉に感銘を受け、新たな挑戦を決意したと語りました。
島野さんのお話は、キャリアと家庭の両立に悩む多くの人にとって、深く響いたのではないでしょうか。
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、以下のテーマについて話し合いました。
①ライフイベントと仕事・昇進など、どのように向き合ってきましたか?
②リーダーとして大切にしていることは何ですか?
③はたらく上でどのような環境、制度、上司や周囲のサポートなどがあったらよい/よかったと思いますか?
その内容を、抜粋しながらご紹介します。
テーマ①「ライフイベントと仕事・昇進など、どのよう向き合ってきましたか?」
出井さん:私の場合、深く考えずにライフイベントに直面しましたが、子どもの誕生はそれまでのキャリアの考え方を根底から変える出来事でした。その時々の状況に合わせてやっていくしかない!と覚悟を決め、自分にできることとできないことの折り合いをつけながら、周囲に感謝を伝えることを大切にし、具体的な工夫を提案してきました。たとえば、仕事においては業務を見える化することで進捗を共有したり、期日よりも早めにタスクを仕上げて急な事態に備えたりしていました。子どもが成長した現在は、大いにやりたいことに取り組み、その姿を子どもも応援してくれています。
田辺さん:育休から復帰した翌年、再びライン長として声がかかったのですが、時短勤務で16時半には帰らなければならないことを理由に散々悩みました。しかし、上司に相談したところ『それでいいんじゃない?』という言葉をもらい、チャレンジすることに決めました(笑)
子どもは急に熱を出すこともあるため、チームメンバーの理解を求めつつ、テレワークを活用したり、ベビーシッターを利用するなどして乗り切りました。
現在、子どもが3歳になり、少し状況が落ち着きました。次の段階も『なんとかなるだろう』という気持ちで臨んでいます。
質問「女性管理職ということで、苦労があったのでは?」
島野さん:人と比べると自信はありませんでした。でも、人と比べるのではなく自分が後に続く女性たちのために道を切り開くことができれば、それは大きな価値があると思いました。
田辺さん:最年少での昇進、そして女性管理職ということで、多少なりとも先入観を持たれる事はありました。でも、誰だって完璧な人ばかりじゃないですよね。だから、営業部の女性管理職としてロールモデルになることが私の役割だと思って邁進しました。
出井さん:私は、「強く牽引していくのがリーダー」という先入観がありました。でも、周りをみると、いろんなリーダーがいるんですよね。だから、自分なりのリーダー像を目指そうと思いました。
パネラーはさまざまな視点から当時をふりかえり、「自分が道を切り開こう」「自分なりの管理職を目指そう」という気づきを得たことを共有しました。
テーマ②「リーダーとして大切にしていることは何ですか?」
田辺さん:心理的安全性を重視しています。部下と細かいコミュニケーションをとって問題解決へと導けるような、何でも言い合える状態を意識しています。
出井さん:メンバーの個性を引き出しつつ寄り添うアプローチを大事にし、一人ひとりの自主性を促すことを意識しています。
鎌田さん:私は人のせいにしないように気を付けています。たとえば、しんどい時にふと会社のせいだと考えてしまうこともありますよね。でも、会社とは人の集合体ですから、それは結局自分自身にも向けられることになります。だからこそ、問題解決においては誰かのせいにするのではなく、自分自身を含めた組織全体で協力して取り組むことが大切だと思っています。
島野さん:管理職は、会社と人の未来に関与するということです。面白く、やりがいがあることだけれども、だからこそ短期的な目線だけでなく先も見据えて対応する姿勢を持っています。
質問:時短勤務で時間がない中、部下に対してはどう対処していますか?
田辺さん:毎日「雑相タイム」を設定しています。これは雑談と相談を行うための時間で、「ざっそう」と呼んでいます。日々、30分から1時間は必ず確保して、声をかけやすい環境を整えています。私は16時半には帰宅するため、メンバーも確認事項がある場合はチャットをうまく活用してくれています。
質問:管理職になる想像がつきません。どんな魅力がありますか?
鎌田さん:管理職になりたいという強い希望がなくても、気後れを感じる必要はありません。後輩ができたり、自分自身がスキルアップしたりする過程で、自然と将来のキャリアについて考えるようになることもあります。一人ひとりに応じた成長が必要であり、管理職は今の仕事の延長線上にあるものだということを伝えたいですね。
島野さん:自分で権限や情報を持てるようになるので、広い視野で目標の実現に近づけること。人脈や情報が増えてくるので、視座が広くなり、大きい可能性で考えることができるようになります。それはメンバーや会社にとっても良いことですし、やりがいにつながっています。
このように、パネラーからはリーダーシップに求められる具体的なスキルや思考が共有されました。
テーマ③「はたらく上でどのような環境、制度、上司や周囲のサポートなどがあったらよい/よかったと思いますか?」
出井さん:育児と仕事の両立には時短制度が役立ちました。こうした基本的な制度は今では多くの会社にあると思います。子育て中は本当に忙しく、目の前のことに精一杯になりますが、周囲の意見を聞くことで視野が広がり、自分にとって大切なものを見極める良いタイミングでもあります。
たとえば、会議で大切な情報を得たときに、それをもとに自分の裁量で面白い成果を生み出せる機会があると素晴らしいですね。
田辺さん:私は営業部の最前線で管理職になり不安がありましたが、伴走してくれる上司の存在が自分の成長を支えてくれました。なんでも話せる上司がいることはとても心強かったです。
鎌田さん:ライフイベントのブランクと仕事の両立に悩まれている方が多いかもしれませんが、私の会社はブランク後の復帰においても公平な評価制度があります。自社の評価制度がどのような制度設計になっているか、よく確認してみるといいと思います。
育休や介護休暇の取りやすさについても話題にあがり、島野さんは、会社のサポート体制が進化していることを指摘しました。働く女性が直面する妊娠中の不安や体調管理についても具体的なアドバイスが交わされ、キャリアと生活のバランスを保つための有効な戦略が数多く提示されました。
パネルディスカッションの後、参加者たちはグループに分かれて今日の気づきを共有しました。特に印象的だったのは、「いろいろな困難を乗り越えられるのか?」という懸念に対して、「みなさんの話を聞いていて、”なんとかなる”という精神が構築されそう」という参加者の言葉。この「なんとかなる」の精神は、パネラーのみなさんが受けてきた周囲の支えや、自己理解から生まれてくるのかもしれません。
ここで、少しですが参加者のアンケートをご紹介します。
〇前向きに話していただいたので、やる前から不安を抱えるのではなく、やってみて乗り越えようと前向きになれました。
〇将来や出産、育児などに対する漠然とした不安がありましたが、話を聞いて少し不安が解消されました。
〇今後の自身の人生において、今この瞬間何を大切にするのか、今この状況で何を取捨選択するのか、その時々で変わるという話を聞き、直面していない問題に悩んでいても仕方がない、まずはチャレンジしてみようという前向きな気持ちになりました。
〇出産後のキャリアが想像しにくかったのですが、みなさんの経験談を聞いて、思っていたよりも何とかなると感じました。
〇なかなか伺う機会のない、人生における大切な考え方や仕事との向き合い方を学べました。
〇パネラーのみなさんが生き生きとお話しされていたことがとても印象的でした。
懇親会
最後は懇親会で本イベントの幕を閉じました。今後も、相互にこのような機会が設けられると良いですね!
以上で3社合同女性社員交流会のレポートは終了です。
この交流会がみなさんのキャリアを考えるきっかけとなり、ますますご活躍されることをお祈りしています!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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