こんにちは。BIGLOBE Style編集部です。
今回ご紹介するのは、BIGLOBE Awards 2024にて社内表彰を受けた「AI活用プロジェクトチーム」の取り組みです。
BIGLOBEでは、社内の業務効率や顧客満足度の向上などを目的に、AIを活用したさまざまなプロジェクトが動いており、その中でも大きな成果を出すことができた取り組みが表彰されました。
受賞したチームメンバーの中から、新卒3年目の川浦 哲詩(プロダクト技術本部 AI・分析推進部)と、中途入社の橋本 大河(営業統括本部 事業統括部)に、今回のAI活用に向けた具体的な工夫や、その過程で苦労した点、そしてこの経験を通してご自身にどのような変化があったのか、詳しくお話を伺いました。
【BIGLOBE Awards とは】
BIGLOBE Awards は、多大な事業貢献を果たした「チーム」を表彰する制度です。
本アワードでは、人とのつながりに焦点を当て、大きな成果を生み出した取り組みのポイントやマインドを共有・称賛します。これにより、社員同士が互いをより身近に感じ、新たな学びの機会とすることを目的としています。
若手が進める、社内のAI活用支援
—— 受賞おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。
川浦 哲詩(以下、川浦):新卒入社3年目で、こんな素晴らしい賞をいただけるとは思ってもいなかったので、本当に光栄です。ただ、この賞は上司からの的確なアドバイスや、AIチームの皆さんのサポートや作成したAIシステムを使ってくれた社員の皆さんのおかげで辿り着けたと思っていて、自分自身としては、まさか受賞できるなんていう驚きの方が大きかったですね。
川浦 哲詩(かわうら さとし)
プロダクト技術本部 AI・分析推進部 AI・分析グループ
2023年新卒入社
橋本 大河(以下、橋本):同じく、自分だからこの賞をいただけたというよりは、本当に周りの皆さんのおかげでいただけたと思っています。営業部門でのAI活用を推進した取り組みが評価されたのですが、実際に多くの社員がAIを使ってくれたからこその受賞ですし、この受賞をきっかけに、AIにさらに注目が集まった点は、とても良いことだと感じています。
橋本 大河(はしもと たいが)
営業統括本部 事業統括部 事業推進グループ
2024年8月中途入社
—— 周りのサポートもあったかと思いますが、ご自身の取り組みが評価されたポイントはどこだと思いますか?
川浦:私はAIを活用して社内の検索システムを刷新したので、それが一番のポイントだと思います。技術的な話になりますが、もともとBIGLOBEでは「Confluence(社内状況共有ツール)」と「Google Drive」に社内の資料が分かれて格納されており、別々に検索する必要がありました。そこで「社内文書AI サーチ」というシステムを開発し、同時検索を実現できるようにしたのです。
さらには、GoogleのAI(gemini)を使用したことで検索精度の向上や文書の要約など新しい技術も導入でき、利用者の仕事の効率が飛躍的に向上したことが評価された点だと思います。
利用者からは「便利になった」という声をいただく一方で、「ここがまだ使いにくい」というフィードバックも受けているため、作って終わりではなく、これからも改善して良いものを作っていこうと考えています。
橋本:私は、生成AIに対しての意識改革とAI利用率を大幅に上げ、組織全体の業務効率と高度化、少なくともAIに対しての苦手意識のようなものを払拭できたことが評価いただいたポイントと伺っております。
ただ、私自身は川浦さんのようにエンジニアのキャリアではなく、実は仕事におけるAI活用もBIGLOBEに中途入社してからなんです。実際に業務でAIを使ってみて「あ・・これ、めちゃくちゃ使える」と実感したんです(笑)。前職の業務でこれを使っていればどれだけ業務改革できたかという後悔の気持ちも湧いてきて、この便利なツールを社内に広めたいと思い勉強会などを開催しました。
なので、評価されたポイントは、まさに自分自身がAIの便利さを知り、それを広く共有できたことかなと思います。今では AI を当たり前に使う社内カルチャーが根付いてきて、仕事だけでなくプライベートにまでAIを使うようになった人が増えたのが個人的に嬉しかったことですね。
—— 実際に「社内文書AIサーチ」では社員の70%が改善を実感しており、AIの勉強会では営業部門でのAIの日常的活用(月1回以上)が92%を達成するなど大きな成果が出て、受賞につながりました。
山田社長(左)と受賞チームメンバー
川浦:これからAIの利用者を増やしていく段階だったので不安もありましたが、賞をいただけたことで会社にも認めてもらえたんだなと思えて、やる気につながりましたね。
橋本:自分たちがやってきたことを認知してもらえて表彰されるというのは大きなモチベーションになります。部署自体もできたばかりだったので、この取り組みが評価されたことで、今後もAIも含め、全社のためになることに積極的に挑戦していきたいと思いました。
技術と営業。異なる立場から推進するAI活用の取り組み
—— AIプロジェクトの詳細に触れる前に、お二人の経歴について教えてください。
川浦:学生時代は情報システム全般について幅広く学びました。具体的には、データベースの設計・運用、ネットワークの構築・管理、プログラミング、情報セキュリティなどで、これらのスキルを活かせる分野の企業を中心に選考を進めていました。その中でBIGLOBEを選んだ理由は、ISP事業を主軸とした事業基盤が安定していることや、システム開発に力を入れていること、AWS(Amazon Web Services)インターンシップで実践的な内容を提供していたことなどが挙げられます。しかし、最終的な決め手は、社員の人柄と社風の良さを感じたことですね。
2023年に新卒で入社した当初はシステム開発チームへ配属され、翌年の7月に現在のAIチームに異動しました。現在の仕事は、社内の業務改善や課題解決にAIを活用していくことで、今回のアワードの受賞対象となった「社内文書AIサーチ」の開発もこの活動の中から生まれました。
橋本:私は新卒でインターネット予約・情報サイトを運営する企業に入社し、秘書や請求管理業務を経験しました。その後、10名規模の販売代理店を営む企業で、経理・総務・秘書・営業事務などバックヤード業務全般を担当していました。
年齢的に30代を迎え、より自身が成長できるチャレンジングな環境に身を置きたいと思い転職活動をはじめ、その過程でBIGLOBEに出会ったんです。
BIGLOBEを選んだきっかけは川浦さんと同じく、面接してくれた方の人柄の良さ、自社サービス・商材への愛着を持ってらしたこと、また自身も幼い頃からBIGLOBEに馴染みがあり親近感を持っていたこと、そして何より自分の経験を活かしながら新しいことにも挑戦できる環境だと感じたからです。
2024年8月に入社した際は、主力商材である「ビッグローブ光」や「BIGLOBEモバイル」に関して、営業全体の販売増強や業務効率化等を推進する業務を担当していました。現在は、新設された部署で、販売計画などの達成に向けて部署横断的な施策立案などのとりまとめなども担当しています。
—— ありがとうございます。二人とも、BIGLOBEに入る決め手に「人柄」を挙げているのも素敵ですね。
橋本:BIGLOBEに入って嬉しかった驚きは、一人ひとりがスペシャリストとして愚直に仕事に取り組んでいることや、自分の仕事のノウハウを積極的に開示するなど、想像以上に風通しが良かったことです。何かにチャレンジする際も皆さんが協力的であり、学びに対しても貪欲な方が多いため、私自身も日々刺激を受けています。
AIがもたらす働き方改革。現場での具体的な取り組み
—— AIに関する具体的なプロジェクトについて詳しく教えてください。
橋本:AIを業務で初めて使用したのはこの会社に入ってからですが、あらゆるシーンで活用できることがわかり、間違いなく働き方が変わると感じました。プライベートではAIにチャットで相談する程度の使用経験しかなかった私が、営業データの分析や数値の集計業務、メールや資料の作成、スケジュール管理などをAIにほぼすべて任せられることを体験し、最初は衝撃を受けましたね。このような経験から、社員向けの勉強会や活用事例の共有会を企画・実施し、AIに関する知識・スキル向上、業務の高度化効率化を目的としたプロジェクトを担っています。
—— AIの進化は本当にすごいので、情報をキャッチアップしていくのは大切ですね。
AIは進化し続け、精度もどんどん高くなっているので、今後の働き方も変わっていくでしょう。すごく簡易的に言えば、一人一人になんでもこなせる優秀なアシスタントが付くイメージです。
もちろん、AIができないこともあります。例えば、相手の好みや感情を考えて、どのタイミングでどのような言い回しで報告や表現をするかといった感覚的な作業は、まだ人間に任せた方が良いと思います。そういったところも技術的にカバーされていくかもしれませんが、すべてが代替されるわけでは無いと思います。だからこそ、AIが得意な業務と人間がすべき業務のすみ分け、AIと人間の協働が進んでいくはずです。そのためにも、まずはAIに慣れてみることが大事だと考え、勉強会を開催しました。
川浦:私は就職活動をしていた時期に生成AIが流行り始めたので、その頃から少しずつ触れていました。BIGLOBEに入ってからは業務でも使えると思い、コーディング支援や不明点の解決、さらには、考えを整理するといった用途で活用していました。
その後、AIチームにジョインしたタイミングで、チームのミッションであるAIを活用した業務効率化などに取り組むことになったんです。その活動の中で生まれた「社内文書AIリサーチ」は、業務改善プロジェクトにおいて課題として挙げられ、改善の必要性から開発に着手しました。
開発は私一人で担当したため、上司と方向性を相談しながら要件定義を進め、それに向けてGoogle Cloudを基盤とした独自の検索基盤を構築しました。
—— 工夫した点があれば教えてください。
川浦:工夫した点としては、膨大な蓄積データの中から単純にAIで検索すると精度が低いため、事前に資料をAIに読み取らせて構造化し、余分なデータを削除して本筋だけを検索対象とする仕組みを作りました。
例えば「有給休暇の使い方」で検索すると、人事部の正式なページではなく関係のない記事がヒットしてしまう問題がありましたが、この改善によって適切な情報が上位にヒットするようになりました。
仕組み自体は比較的シンプルですが、そこに至るまでが大変でした。検索精度向上のためにさまざまな方法を試し、最終的にSEO対策的なアプローチがヒットしました。
あとは、黙々と開発を進めるだけでなく、週に一度AIグループ内でデモを行い、方向性について議論を重ねました。全社公開は段階的に行い、まずデモ版を一部の社員へ公開。その後全社員が使えるよう対象を拡大するなど、数カ月単位でユーザーからのフィードバックを収集し、継続的な改善につなげています。
AIモデル自体も速いペースでアップデートされていくので、時間の経過とともに精度が向上する部分もあります。今後は「社内文書AI サーチ」とデータ分析AIを連携させ、質問に対して記事から内容を取得し数字で裏付ける機能なども考えています。また、GitHubと連携して、issueやGitHub上のドキュメントなども検索対象にする計画もあります。
—— 橋本さんはいかがですか?工夫した点があれば教えてください。
橋本:私自身がAIの便利さを実感したので、そのノウハウを広めようと思いましたが、単に「使って」と言うだけでは使ってもらえないと考えました。日々、多忙な業務に追われ、現状維持で十分だと考えるのは自然なことです。
そこで、まずは営業部門を対象に「業務の中でAIでこんなことができる」という事例をわかりやすく紹介する勉強会を開催しました。そこでは、専門用語を使わず噛み砕いて説明することを意識しました。例えば、「LLMは単独だとクローズされた社内情報にアクセスできないから、ハルシネーションを起こしやすいためRAGを構築しました……」と言われても馴染みの無い人は直感的に理解できませんよね。私もそうでした(笑)なのでAIを使うとどうなるかというイメージを持ってもらえるよう難しい言葉を使わないように、そしてイメージしてもらいやすい仕事のシーンを出して説明するように工夫しましたし、実際に生成AIを使った業務をされている方からも共有会という形で情報発信いただいておりました。
また、入社して間もない頃で、社内に知り合いがほとんどいない状況でのAI普及活動は、正直なところ勇気がいることでした。しかし、まずは誰に働きかければ拡がるかを探り、アンケートを通じて「どのようにAIを使っているか」「どのように使いたいか」「何に困っているか」といったニーズを把握し、その後、AIを活用した解決策を提案するというアプローチを取りました。
純粋にAIの素晴らしさを広めたいという思いから取り組んだことで、幸いにも皆さんに受け入れてもらえて、AI利用経験100%を達成(認識指標)し、私自身も入社して早々に「AIの人」として認知されるようになってきました(笑)
—— このプロジェクトを通じて身についたスキルや成長した点を教えてください。
川浦:技術面では、Google Cloud上でのシステムアーキテクチャ設計・構築に関する実践的な知識とスキルです。 社内でGoogle Cloudを利用して基盤構築をしている人がほとんどいないので、今後も自分の知見を広めていけたらと思っています。また、開発にあたっては実際にGoogle社から支援をいただき、わからない点を質問したりサンプルコードをいただいたりしながら解決していきました。これは要件定義の段階でGoogle社と連携したいと提案し、初めて実現した取り組みです。
橋本:私の場合は、前職が小規模な組織だったため、BIGLOBEのような規模の組織における社内コミュニケーションは未知の領域でした。それでも入社して間もないタイミングで、このプロジェクトに関わり、営業部門の社員約300人に向けた勉強会でコミュニケーションスキルやチームワークを学び、さまざまな部署と関わることで各部署の業務を理解できました。これは、このプロジェクトに関わっていなければ学ぶことができなかったことだと思います。そして、一番の成長は、物事を円滑に進める方法を学べたことで、これは上司の指導・支援があったからこそです。入社して間もない私を受け入れてくれる土壌があったことも大きかったと思います。
—— お互いの取り組みを聞いて、どのように感じましたか?
川浦:今回システムは作ったものの、まだ社内の利用状況的にはこれから伸ばしていく段階です。橋本さんが入社間もない段階で営業部門全員を巻き込んだ勉強会を開催したのはすごいことですし、その勢いは見習うべき点だと思いました。自分は頭で考えすぎて進めないことがあったので、「まずはやってみる」というアプローチの素晴らしさが勉強になります。
橋本:いえいえ、私からしたら川浦さんはAIのプロフェッショナルなので、自ら学んで実装する知識と技術は本当に素晴らしいと思います。私はAIの使い方は理解してきましたが、システムの開発はできませんし、そもそもそのような発想も持てなかったと思うので、0→1の立ち上げができる川浦さんのような方がいて、それを広めていく私のような存在がいることで、AI活用推進の働き方が可能になると感じています。
これからのビジョンとBIGLOBEで働く魅力
—— これからAIについて、会社としてこうなったら良いと思う点はありますか?
橋本:現在は個人業務での活用が主流ですが、これからはより大きなビジネスインパクトを生み出せるAIのユースケースが生まれると良いと思います。例えば、販売データの分析から効率的な営業アプローチ方法までをAIに考えてもらうなど。また最終的には全てAIで完結できるようなケースも生まれると良いですね。そのようなヒントやノウハウを引き続き発信していきたいですし、私自身も営業推進の立場でAIを積極的に活用していきたいと思います。
川浦:基盤系システムへのAI活用にも取り組んでいけるといいですね。例えばエラーログの監視でAIが読み取って改善案を出してくれるようなシステムです。また、顧客向けの展開として、現在カスタマーサポートで活用しているAIを他の顧客接点にも広げていくこと、Q&AにもAIを活用するなど、便利になる部分はどんどんAIに任せていきたいと思います。
—— 最後に、BIGLOBEに興味を持っている求職者へのメッセージをお願いします。
橋本:私は新しい環境に挑戦したいという気持ちで入社しましたが、もちろん最初は不安もありましたが、心優しく受け入れていただけましたし、入ってみて分かったのですが、中途として外の目線から見ても、BIGLOBEは福利厚生を重視して安心して働きたい人、チャレンジしながらスキルをバリバリ磨きたい人等々、多様な働き方を受け入れてくれる土壌があると思います。ぜひ気になった方は門を叩いていただけると嬉しいです。
川浦:エンジニア視点では、資格取得の費用が会社負担であったり、合格すると報奨金が出たり、本も自由に取り寄せられるなど、個々人の成長をサポートしてくれる環境が整っていることがいいなと感じています。
それに、社内には技術の業界で有名な方やその道のプロなど本当にすごい方々がいて、直接学べる機会も充実しています。そういった場でキャリアを磨いたり、新しいことにチャレンジしたい方にはぜひおすすめです。
—— 本日はありがとうございました!
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